ソルベンシー・マージン比率とは、保険会社の支払い能力を示す指標です。この記事では、2022年における生命保険会社、損害保険会社、少額短期保険会社および共済組合のランキングをご紹介します。
ソルベンシー・マージン比率とは
ソルベンシー・マージン比率とは、通常予測できないリスクが発生した場合に、保険会社が支払い能力があるかどうかを判断する指標です。
ソルベンシー・マージン比率は数値が高いほど安全性が高く、200%以上が健全性の目安となります。ソルベンシー・マージン比率が200%を下回ると、経営の健全性を回復させるために、金融庁から早期是正措置が発動されます。
保険会社のソルベンシー・マージン比率は常に変動しています。1年に数百パーセント変化することも珍しくありません。保険会社のソルベンシー・マージン比率は、最新の情報を調べることをおすすめします。
保険会社は毎年の決算期末(3月がほとんど)にソルベンシー・マージン比率を計算しなおして公表します。ただし、実際の公表は7月頃になることが多いです。
計算方法
ソルベンシー・マージン比率は次の計算式によって求めます。
マージンとは資本金などの自己資本や準備金を表します。これに大規模災害などにより保険金支払いが増加するリスクや資産運用環境の悪化による資産の減少などのリスクを加味します。
ソルベンシー・マージン比率の計算式において、リスク額を半分にして計算していることにご注意ください。
「200%」という字面から余裕があるように感じますが、実際には200%で最大リスクにぎりぎり耐えうるという意味です。
生命保険
2022年における生命保険会社のソルベンシー・マージン比率は、次のとおりです。
保険会社 | ソルベンシー・マージン比率 |
---|---|
ライフネット生命 | 3,182% |
みどり生命 | 3,068% |
ソニー生命保険 | 2,191% |
メディケア生命保険 | 1,672% |
楽天生命保険 | 1,500% |
SOMPOひまわり生命 | 1,359% |
オリックス生命保険 | 1,275% |
FWD富士生命 | 1,248% |
フコク生命 | 1,234% |
アクサダイレクト生命 | 1,217% |
大同生命 | 1,203% |
三井住友海上あいおい生命 | 1,151% |
明治安田生命 | 1,135% |
東京海上日動あんしん生命 | 1,128% |
日本生命 | 1,120% |
フコクしんらい生命 | 1,117% |
ネオファースト生命 | 1,111% |
三井住友海上プライマリー生命 | 1,094% |
かんぽ生命 | 1,045% |
チューリッヒ生命 | 1,029% |
大樹生命 | 980% |
朝日生命 | 954% |
アフラック | 940% |
第一生命保険 | 907% |
ジブラルタ生命保険 | 877% |
SBI生命 | 821% |
イオン・アリアンツ生命保険 | 817% |
プルデンシャル生命保険 | 797% |
住友生命 | 794% |
エヌエヌ生命保険 | 783% |
メットライフ生命 9月 | 764% |
アクサ生命 | 761% |
PGF生命 9月 | 758% |
マニュライフ生命 | 755% |
T&Dフィナンシャル生命 | 749% |
カーディフ生命 | 749% |
太陽生命保険 | 734% |
クレディ・アグリコル生命 | 543% |
第一フロンティア生命 9月 | 516% |
※9月は9月決算
損害保険
地震や台風などの自然災害のリスクが大きいため、損保会社は生保会社よりソルベンシー・マージン比率が低くなる傾向があります。
2022年における損害保険のソルベンシー・マージン比率は、次の表のとおりです。
保険会社 | ソルベンシー・マージン比率 |
---|---|
明治安田損保 | 2,847% |
日立キャピタル損害保険 | 2,304% |
エイチ・エス損害保険 | 2,076% |
ジェイアイ傷害火災保険 | 2,072% |
au損保 | 1,790% |
AIG損保 | 1,263% |
日新火災海上保険 | 1,245% |
共栄火災 | 1,179% |
楽天損保 | 1,110% |
あいおいニッセイ同和損保 | 780% |
三井住友海上 | 916% |
ソニー損保 | 813% |
東京海上日動火災保険 | 843% |
セコム損保 | 868% |
アクサ損害保険 | 812% |
損保ジャパン | 697% |
三井ダイレクト損保 | 653% |
イーデザイン損保 | 647% |
SBI損保 | 527% |
セゾン自動車火災保険 | 492% |
アニコム損保 | 334% |
アイペット損保 | 267% |
少額短期保険
2022年における少額短期保険会社のソルベンシー・マージン比率ランキングは次のとおりです。
少額短期保険会社 | ソルベンシー・マージン比率 |
---|---|
メモリード・ライフ | 8,127% |
ベル少額短期保険 | 6,831% |
アスモ少額短期保険株式会社 | 6,319% |
さくら少額短期保険 | 5,924% |
アクア少額短期保険 | 5,151% |
アイアル少額短期保険 | 4,638% |
富士少額短期保険 | 4,752% |
e-Net少額短期保険 | 3,087% |
SBI日本少額短期保険 | 2,492% |
SBIいきいき少額短期保険 | 1,974% |
イオン少額短期保険 | 1,919% |
あすか少額短期保険 | 1,321% |
SBIリスタ少額短期保険 | 774% |
エール少額短期保険 | 737% |
共済組合
共済組合は保険会社ではありませんが、消費生活協同組合法施行規則に定める方法に基づいて、支払余力比率を算出しています。
共済 | 支払余力比率 |
---|---|
こくみん共済coop(旧・全労災) | 2,117% |
コープ共済 | 1,539% |
JA共済 | 1,276% |
共済について詳しくは、次の記事をご覧ください。

経営の健全性を示す絶対的な評価ではない
保険会社の安全性を判断するうえて重要な尺度であるソルベンシー・マージン比率ですが、その見方にはいくつか注意すべき点があります。
気をつけたいのは、ソルベンシー・マージン比率が保険会社の経営の健全性を示す絶対的な評価にはならないということです。
大和生命はハイリスク・ハイリターンの運用に走ったため、リーマンショックを受けて2008年10月に経営破綻しました。同社のソルベンシー・マージン比率は、2008年3月時点で555%でした。
ソルベンシー・マージン比率が高いからといって、必ずしも保険会社の経営が健全というわけではありません。
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