ボリンジャーバンドとは株やFXで使われるテクニカル指標で、価格変動の99.73%が収まる帯をチャートに表示します。その計算式と見方をご紹介します。
ボリンジャーバンドとは
ボリンジャーバンドとは、米国のファイナンシャルアナリストであるJ.A.Bollingerが統計学を基に考案したトレンド系のテクニカル指標です。
テクニカル指標には、トレンド系とオシレータ系の2種類があります。トレンド系の指標は、「買い」か「売り」かの方向性を判断するためのテクニカル指標です。オシレータ系の指標は、トレンドの強弱を判断するためのテクニカル指標です。
一定期間の移動平均線を中心として、上下に±σ(一定期間におけるデータの標準偏差)、±2σおよび±3σのバンド(帯)を引きます。
+3σと3-σに挟まれた領域をボリンジャーバンドといいます。
株価データやFXの為替レートが、ボリンジャーバンドにおけるそれぞれのバンド内に収まる確率は次のとおりです。
バンド | 確率 |
---|---|
±σ | 68.27% |
±2σ | 95.45% |
±3σ | 99.73% |
株価やFXの為替レートが正規分布に従うランダム変数だと仮定すると、今後の値動きも上記の確率でバンド内に収まります。たとえば、±3σの外側へ飛び出す可能性は非常に低いと考えられます。
計算式
ボリンジャーバンドの計算式は次のとおりです。
±2σ = 期間kの移動平均 ± 期間kの標準偏差 × 1
±3σ = 期間kの移動平均 ± 期間kの標準偏差 × 2
見方
ボリンジャーバンドの見方は、原則的にバンド幅の中に納まるため、+3σにタッチしたところを天井、-3σにタッチしたところを底と判断します。
ただし、バンドの形も重要となります。ボリンジャーバンドの見方として、バンドの幅が狭くなっていくスクイーズとバンドの幅が広がっていくエクスパンションがあります。
スクィーズ
ボリンジャーバンドの幅が狭くなっていく状態をスクイーズといいます。スクィーズは明確なトレンドが発生していない揉み合い状態です。
スクイーズのときは、±2σ付近での反転を狙った逆張りが有効となります。
逆張りをするときには、他のトレンド系指標を組み合わせて判断すると、より友好的です。
エクスパンション
ボリンジャーバンドの幅が広くなっていく状態をエクスパンションといいます。エクスパンションはトレンドが発生し始めた状態です。
エクスパンションのときは、±2σを超えたり、±2σに沿って上昇や下降をするバンドウォークという形が発生しやすくなるため、トレンド方向への順張りが有効となります。
順張りをするときは、オシレーター系指標を組み合わせて判断すると、より友好的です。
使い方
ボリンジャーバンドの使い方は、原則として逆張りに使います。ただし、エクスパンション時の±2σ時点は順張りに使います。
ボリンジャーバンドの使い方をまとめると、次のようになります。
スクイーズ | エクスパンション | |
---|---|---|
±2σ | 逆張り | 順張り |
±3σ | 逆張り | 逆張り |
組み合わせる他の指標 | トレンド系 | オシレータ系 |
Excelでボリンジャーバンドを求める
Excelでボリンジャーバンドを求めるには、Excelに次の計算式を入力します。
A | B | C | |
---|---|---|---|
1 | 移動平均 | +σ(25日) | ーσ(25日) |
2 | 100 | ||
3 | 101 | ||
4 | 102 | ||
5 | 103 | ||
6 | 104 | ||
7 | 105 | ||
8 | 106 | ||
9 | 107 | ||
10 | 108 | ||
11 | 109 | ||
12 | 110 | ||
13 | 111 | ||
14 | 112 | ||
15 | 113 | ||
16 | 114 | ||
17 | 115 | ||
18 | 116 | ||
19 | 117 | ||
20 | 118 | ||
21 | 100 | ||
22 | 90 | ||
23 | 98 | ||
24 | 80 | ||
25 | 75 | ||
26 | 100 | =A26+STDEV.P(A2:A26) | =A26-STDEV.P(A2:A26) |
27 | 105 | =A27+STDEV.P(A3:A27) | =A27-STDEV.P(A3:A27) |
28 | 110 | =A28+STDEV.P(A4:A28) | =A28-STDEV.P(A4:A28) |
設定
ボリンジャーバンドはトレンド系のテクニカル指標としてメジャーな存在であるため、たいていのトレーディング・ツールで表示されることができます。
おもなトレーディング・ツールにおけるボリンジャーバンドの設定方法をご紹介します。
MT4
MT4(Meta Trader 4)はFX(外国為替証拠金取引)でよく使われているツールです。
MT4でボリンジャーバンドを設定するには、次の手順で操作します。
- 「挿入」→「インディケータ」→「トレンド」→「Bollinger Bands」を選択する。
- ポップアップ画面が表示されるので、「期間」「表示移動」「偏差」「適用価格」「スタイル」を指定して、OKボタンをクリックする。
MARKET SPEED Ⅱ
MARKET SPEED Ⅱは楽天証券が提供しているトレーディング・ツールです。
MARKET SPEED Ⅱでボリンジャーバンドを設定するには、次の手順で操作します。
- メニューの「チャート」を選択する。
- 歯車アイコンが付いた「設定」ボタンをクリックする。
- チャート設定画面の「新しく起動するチャートに関する設定」→「トレンド系」→「ボリンジャーバンド」を選択する。
- 設定項目を入力して、OKボタンをクリックする。
MARKET SPEED Ⅱではボリンジャーバンドのパラメータとして、次の項目を設定することができます。
- 期間(分足、日足、週足、月足)
- σ1(分足、日足、週足、月足)
- σ2(分足、日足、週足、月足)
- σ3(分足、日足、週足、月足)
- 線の色、線の種類、線の太さ
- バンド幅
- %b
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