インフラファンドとは、投資者から集めた資金で太陽光発電施設や港湾施設といったインフラ施設を保有して、そこから生じる収益等を投資者に分配する仕組みです。
インフラファンドとは
インフラファンドは、東京証券取引所のインフラファンド市場に上場する「インフラ投資法人」という形をとっています。
インフラ投資法人は投信法に基づいていて、基本的にJ-REIT(不動産投資信託)と同様の仕組みです。
導管性要件
インフラ投資法人は、一定の基準を満たすことにより、法人税が免除されます。この基準を導管性要件といいます。
利益超過分配金
インフラアンドにおける利益超過分配金とは、太陽光発電の減価償却費を原資とした分配金です。
リスク
東京証券取引所に上場されているインフラ投資法人は、いずれも太陽光発電を中心とする再生可能エネルギー発電設備に投資を行うインフラファンドです。インフラファンドの特徴として、再生可能エネルギー発電設備の売電収入の大部分がFIT制度という法律上の制度に支えられているという点が挙げられます。FIT制度(固定価格買取制度)とは、再生エネルギー電気の利用の促進に関する特例措置法に基づき、再生可能エネルギー発電設備を用いて発電された電気について、固定の調達価格および調達期間で買い取ることを電力会社に義務付ける制度です。FIT制度には以下に示すリスクがあります。
- 調達価格の下落リスク
- 調達期間の短縮リスク
- インフレのリスク
- 出力制御のリスク
- FIT制度終了後のリスク
調達価格の下落リスク
再生可能エネルギー発電設備を用いて発電した電気の調達価格は年々引き下げられており、今後更に引き下げられる可能性があります。
調達期間の短縮リスク
再生可能エネルギー発電設備を用いて発電した電気の調達期間(電力会社が買取を義務付けられる期間)が今後短縮される可能性があります。
インフレのリスク
FIT制度に基づく調達価格は固定されているため、インフレにより物価が上昇した場合でも、売電価格は変わりません。インフレ率を考慮した実質収入が目減りする可能性があります。
出力制御のリスク
出力制御とは、電気の需要と供給のバランスを確保するため、電力会社が太陽光発電設備について出力の抑制を要請し、出力量を制御する仕組みです。出力制御が実施される場合、発電事業者の売電収入が減少する可能性があります。
FIT制度終了後のリスク
FIT制度による調達期間が終了すると、電力会社は再生可能エネルギー発電設備を用いて発電された電気について買取義務がなくなります。この場合、買取価格が下げられたり、電力会社が買取を拒否する可能性があります。
インフラファンド一覧
東京証券取引所インフラファンド市場に上場している投資法人には、次の銘柄があります。
- いちごグリーンインフラ投資法人
- カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人
- 東京インフラ・エネルギー投資法人
- エネクス・インフラ投資法人
- ジャパン・インフラファンド投資法人
いちごグリーンインフラ投資法人
いちごグリーンインフラ投資法人は、投資主より払い込まれた資金等を、太陽光発電施設を中心とした再生可能エネルギー発電施設に投資し、再生可能エネルギー発電施設を賃借人に賃貸し、賃借人より基本賃料、および、再生可能エネルギー発電施設の運営・維持管理等に要する費用等を控除した後の売電収入に連動した実績連動賃料を受領することで運用します。
銘柄 | いちごグリーンインフラ投資法人 |
英名 | Ichigo Green Infrastructure Investment Corporation |
コード | 9282 |
主要投資主 | いちごトラスト・ピーティーイー・リミテッド いちご株式会社 |
管理会社 | いちご投資顧問 |
決算 | 6月末(年1回) |
格付 | なし |
制度信用 | 貸借融資銘柄 |
投資主優待 | あり |
いちごグリーンインフラ投資法人の分配金は次のとおりです。
決算期 | 決算年月 | 分配金 |
---|---|---|
第8期 | 2023年6月 | 5,095円 |
第7期 | 2022年6月 | 4,248円 |
第6期 | 2021年6月 | 3,922円 |
第5期 | 2020年6月 | 3,802円 |
第4期 | 2019年6月 | 3,865円 |
第3期 | 2018年6月 | 4,226円 |
第2期 | 2017年6月 | 4,278円 |
第1期 | 2016年6月 | 0円 |
いちごグリーンインフラ投資法人には投資主優待制度があります。各期末時点の投資主名簿に記載の投資主を対象として、Jリーグ全クラブ・全試合を対象とする抽選式の「いちご Jリーグ株主・投資主優待」制度を導入しています。試合日ごとに、J1、J2、J3それぞれにつき1試合ずつ応募できます。
カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人
カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人は、太陽光発電施設を主な投資対象とするインフラファンドです。
地域別に見ると、九州地方が6割以上を占めています。
銘柄 | カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人 |
英名 | Canadian Solar Infrastructure Fund, Inc. |
コード | 9284 |
主要投資主 | カナディアン・ソーラー・プロジェクト株式会社 |
管理会社 | カナディアン・ソーラー・アセットマネジメント |
決算 | 6月末と12月末(年2回) |
格付 | A-(R&I)、A(JCR) |
制度信用 | 貸借融資銘柄 |
投資主優待 | なし |
カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人の分配金は次のとおりです。
決算期 | 決算年月 | 分配金 |
---|---|---|
第12期 | 2023年6月 | 3,750円 |
第11期 | 2022年12月 | 3,750円 |
第10期 | 2022年6月 | 3,903円 |
第9期 | 2021年12月 | 3,750円 |
第8期 | 2021年6月 | 3,700円 |
第7期 | 2020年12月 | 3,700円 |
第6期 | 2020年6月 | 3,700円 |
第5期 | 2019年12月 | 3,650円 |
第4期 | 2019年6月 | 3,650円 |
第3期 | 2018年12月 | 3,600円 |
第2期 | 2018年6月 | 2,350円 |
第1期 | 2017年9月 | 0円 |
東京インフラ・エネルギー投資法人
東京インフラ・エネルギー投資法人は、太陽光発電施設を主な投資対象とするインフラファンドです。
買取電気事業者別に見ると、東北電力向けが約7割を占めます。
銘柄 | 東京インフラ・エネルギー投資法人 |
英名 | Tokyo Infrastructure Energy Investment Corporation |
コード | 9285 |
主要投資主 | 株式会社クールトラスト |
管理会社 | 東京インフラアセットマネジメント |
決算 | 6月末と12月末(年2回) |
格付 | A-(JCR) |
制度信用 | 貸借融資銘柄 |
投資主優待 | なし |
東京インフラ・エネルギー投資法人の分配金は次のとおりです。
決算期 | 決算年月 | 分配金 |
---|---|---|
第11期 | 2023年6月 | 2,800円 |
第10期 | 2022年12月 | 3,017円 |
第9期 | 2022年6月 | 3,080円 |
第8期 | 2021年12月 | 3,036円 |
第7期 | 2021年6月 | 3,262円 |
第6期 | 2020年12月 | 2,898円 |
第5期 | 2020年6月 | 3,900円 |
第4期 | 2019年12月 | 2,195円 |
第3期 | 2019年6月 | 4,203円 |
第2期 | 2018年12月 | 651円 |
第1期 | 2018年6月 | 0円 |
エネクス・インフラ投資法人
エネクス・インフラ投資法人は太陽光発電所を投資対象とするインフラファンドです。
銘柄 | エネクス・インフラ投資法人 |
英名 | Enex Infrastructure Investment Corporation |
コード | 9286 |
売買単位 | 1口 |
スポンサー | 伊藤忠エネクス株式会社 |
管理会社 | エネクス・アセットマネジメント |
決算 | 5月末と11月末(年2回) |
格付 | A(JCR) |
制度信用 | 貸借銘柄 |
投資主優待 | なし |
上場日 | 2019年2月13日 |
エネクス・インフラ投資法人の分配金は次のとおりです。
決算期 | 決算年月 | 分配金 |
---|---|---|
第7期 | 2023年5月 | 3,000円 |
第6期 | 2022年11月 | 3,000円 |
第5期 | 2022年5月 | 3,030円 |
第4期 | 2021年11月 | 6,000円 |
第3期 | 2020年11月 | 6,000円 |
第2期 | 2019年11月 | 5,980円 |
第1期 | 2018年11月 | 0円 |
ジャパン・インフラファンド投資法人
ジャパン・インフラファンド投資法人は、2020年2月20日に東証インフラファンド市場へ上場したインフラファンドです。
銘柄 | ジャパン・インフラファンド投資法人 |
英名 | Japan Infrastructure Fund Investment Corporation |
コード | 9287 |
売買単位 | 1口 |
主要投資主 | 株式会社福岡銀行 丸紅株式会社 |
管理会社 | ジャパン・インフラファンド・アドバイザーズ |
決算 | 5月末と11月末(年2回) |
格付 | A(R&I) |
上場日 | 2020年2月20日 |
制度信用 | 貸借融資銘柄 |
投資主優待 | なし |
ジャパン・インフラファンド投資法人の分配金は次のとおりです。
決算期 | 決算年月 | 分配金 |
---|---|---|
第7期 | 2023年5月 | 2,980円 |
第6期 | 2022年11月 | 3,005円 |
第5期 | 2022年5月 | 2,980円 |
第4期 | 2021年11月 | 2,953円 |
第3期 | 2021年5月 | 2,950円 |
第2期 | 2020年11月 | 2,977円 |
第1期 | 2020年5月 | 1,171円 |
比較
インフラ投資法人の格付けを比較した結果は次のとおりです。
インフラ投資法人 | R&I | JCR |
---|---|---|
ジャパン・インフラファンド投資法人 | A | – |
カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人 | A- | A |
エネクス・インフラ投資法人 | – | A |
東京インフラ・エネルギー投資法人 | – | A- |
いちごグリーンインフラ投資法人 | – | – |
参考文献
いちごグリーンインフラ投資法人 (2023) 投資主優待
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