EB債(Exchangeable Bond)とは、一般の債権より高利回りの債券です。ただし、一定の条件(ノックイン)で株式に転換されます。この記事ではEB債の仕組みやメリットを紹介しています。
EB債のメリット
EB債は一般的な債券より利回りが高いのがメリットです。社債の10倍以上の利回りであることも珍しくありません。
たとえば、SBI証券が発行する債券では、次のような違いがあります。
社債 | EB債 | |
---|---|---|
期間 | 2年 | 2年 |
利回り | 年0.43% | 年11.50% |
EB債の仕組み
EB債は債券に「プット・オプションの売り」を組み合わせたもので、仕組債とも呼ばれます。
購入すると利金が支払われたり、満期になると償還されるところは一般的な債券と同じです。ただし、次の2点が異なります。
- 早期償還
- ノックイン
早期償還やノックインが起こると、満期まで待たずに償還されます。
早期償還
早期償還とは、あらかじめ決められた満期日よりも前に債券が償還されることです。早期償還されると、元本とそれまでの利金が支払われて終了します。
EB債には対象とする株式が決められています。対象となる株式は上場投資信託(ETF)の場合もあります。EB債の早期償還の条件は、この株式の株価によって決められます。
EB債の受渡日の対象株式終値を当初価格として、対象株式の株価が「当初価格×110%」まで上昇したら早期償還となる、といった条件になっています。たとえば、対象株式の当初価格が100円だった場合、その株価が110円になったら早期償還されます。
この場合、満期までずっと高金利で利金がもらえるはずだったところが、途中で終了してしまいます。
ノックイン
EB債のノックインの条件は、対象とする株式の株価によって決められます。
EB債の受渡日の対象株式終値を当初価格として、対象株式の株価が「当初価格×65%」まで下落したらノックインとなる、といった条件になっています。たとえば、対象株式の当初価格が100円だった場合、その株価が65円になったらノックインとなります。
ノックインが発生すると、EB債は償還されます。ただし、元本に相当する分が現金ではなく、対象株式で償還されます。
たとえば、100万円でEB債を購入してノックインが起こると、100万円は返ってこなく、対象の株式65万円分で支払われます。
元本割れなのに加えて、現金ではなく株式で支払われるというデメリットがあります。
リスク
EB債には一般的な債券としてのリスクに加えて、EB債固有のリスクもあります。
リスク | EB債 | 一般的な債券 |
---|---|---|
信用リスク | あり | あり |
価格変動リスク | あり | あり |
オプション原資産の価格変動リスク | あり | なし |
債券には発行体(債券の発行元)の信用リスクがあります。信用リスクの度合いは、発行体によってさまざまです。
ただし、EB債は信用リスクが低い傾向があります。
格付が高い(=信用リスクが低い)発行体の債券は利回りが低くなりますが、それでは必要な資金を集めにくい、といった理由からEB債を発行するからです。
格付が低い(=信用リスクが高い)発行体は、そもそも高い金利をつけないと資金を集められないので、EB債を発行するまでもないのです。
EB債の手数料
一般的な債券と同様に、EB債の購入や保有に関して手数料はかからず無料です。
EB債の販売会社
証券会社や銀行など、多くの金融機関でEB債を販売しています。
とくに次の金融機関で積極的にEB債を取り扱っています。
仕組債をわかりやすく言うと他人の金で博打すること
仕組債(EB債)の発行体が投資家からお金を借りて博打を行っています。発行体が博打に勝ったら、その利益は自分のものにして、早々に借金を返済して利息を節約します。発行体が博打に負けたら、発行体は利息のみを負担して、博打の損失はお金を貸した投資家に押し付けます。つまり、仕組債を買うくらいなら、自分で博打した方がましです。負けた損失を負担するのは同じですが、少なくとも買ったときの利益は自分のものになる分、仕組債よりましです。わかりやすく言うと、自分で博打するより割に合わないのが仕組債です。
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