証券会社や銀行などの金融機関のうち、儲かっている客が多いのはどこなのか興味がありませんか?
どこも大差ないだろうと考えがちですが、実際には金融機関によって凄まじい格差があることが明らかになりました。
顧客が儲かっている証券会社・銀行ランキング
投資信託を購入した顧客のうち、どのくらいの割合が利益を得たのかなどを明らかにするために、金融機関向けに定めた「比較可能な共通指標(KPI)」について、金融庁が2020年5月28日に分析結果を公表しました。
投資信託を販売する金融機関のうち、380社が運用損益別の顧客の割合を開示しました。
ネット証券と投信直販
投資信託を購入した顧客のうち、何割が利益が出ているかを示したランキングは次のとおりです。
順位 | 金融機関 | 割合 |
---|---|---|
1 | セゾン投信 | 98% |
2 | ありがとう投信 | 95% |
3 | 住まいと保険と資産管理 | 89% |
4 | 財コンサルティング | 89% |
5 | FPブレーン | 88% |
6 | グローバー・アセット・マネジメント | 87% |
7 | コモンズ投信 | 84% |
8 | 鎌倉投信 | 82% |
9 | フィデリティ証券 | 78% |
10 | 第一生命保険 | 76% |
11 | 楽天証券 | 75% |
12 | auカブコム証券 | 75% |
13 | GAIA | 73% |
14 | アスユー | 73% |
15 | FPフローリスト | 71% |
16 | SBI証券 | 71% |
17 | ブロードマインド | 70% |
18 | 岡三オンライン証券 | 58% |
19 | GMOクリック証券 | 55% |
20 | アイ・コーポレーション | 46% |
21 | レオス・キャピタルワークス | 45% |
出典:「顧客本位の業務運営」の取組成果の公表状況(2020)金融庁
その他事業者のほとんどは、全業態平均である66.2%を超えています。対面証券や銀行と比べて、たいへん好成績です。
これには次の理由が考えられます。
- 営業マンのすすめではなく自分で商品選びをしている
- 自社系列の投信会社だけでなく幅広い商品ラインナップを揃えている
- 回転売買が少なく積立投資の割合が多い
ネット証券や投信直販を利用するような層はファイナンシャル・リテラシーが高いと考えられるので、それが好成績につながっているのでしょう。
1位のセゾン投信では、実に顧客の98%もの方が利益を出しています。逆に2%しかいない損失を出している人の立場は・・・
セゾン投信は「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」や「セゾン資産形成の達人ファンド」など、人気の投信を直販している会社です。つみたてNISAにも対応しているので、積立投資に最適です。
レオス・キャピタルワークスは看板商品である「ひふみ投信」が売上の大半を占めているため、ひふみ投信の成績に左右されやすい構造になっています。過去には1位だったときもあるのですが、今回は最下位になってしまいました。
対面証券
対面営業を主とする証券会社行で投資信託を購入した顧客のうち、何割が利益が出ているかを示したランキングは次のとおりです。
順位 | 金融機関 | 割合 |
---|---|---|
1 | 野村證券 | 80% |
2 | 大万証券 | 79% |
3 | 丸三証券 | 77% |
4 | PWM日本証券 | 76% |
5 | 中原証券 | 75% |
6 | 証券ジャパン | 75% |
7 | 三津井証券 | 71% |
8 | 木村証券 | 69% |
9 | 岩井コスモ証券 | 69% |
10 | IS証券 | 68% |
11 | みずほ証券 | 66% |
12 | 中銀證券 | 65% |
13 | SMBC日興証券 | 64% |
14 | むさし証券 | 64% |
15 | 大和証券 | 64% |
16 | アーク証券 | 63% |
17 | 永和証券 | 62% |
18 | 東海東京証券 | 62% |
19 | 益茂証券 | 62% |
20 | 長野證券 | 62% |
21 | 三木証券 | 60% |
22 | 静銀ティーエム証券 | 59% |
23 | めぶき証券 | 58% |
24 | いちよし証券 | 58% |
25 | 百五証券 | 58% |
26 | ちばぎん証券 | 57% |
27 | 山形證券 | 57% |
28 | エース証券 | 57% |
29 | リテラ・クレア証券 | 57% |
30 | 丸八証券 | 55% |
31 | エイチ・エス証券 | 54% |
32 | 東洋証券 | 54% |
33 | 岡三にいがた証券 | 54% |
34 | 極東証券 | 53% |
35 | 北洋證券 | 52% |
36 | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 51% |
37 | 寿証券 | 50% |
38 | 浜銀TT証券 | 50% |
39 | ごうぎん証券 | 50% |
40 | 内藤証券 | 50% |
41 | 光証券 | 50% |
(以下略) |
出典:「顧客本位の業務運営」の取組成果の公表状況(2020)金融庁
対面証券で全業態平均である66.2%を超えているのは、10社しかありません。大半が平均値以下の成績です。
銀行
銀行で投資信託を購入した顧客のうち、何割が利益が出ているかを示したランキングは次のとおりです。
順位 | 金融機関 | 割合 |
---|---|---|
1 | 山口銀行 | 83% |
2 | スルガ銀行 | 82% |
3 | ソニー銀行 | 80% |
4 | 北九州銀行 | 79% |
5 | オリックス銀行 | 78% |
6 | 北陸銀行 | 77% |
7 | 南日本銀行 | 77% |
8 | 東邦銀行 | 76% |
9 | ゆうちょ銀行 | 76% |
10 | SMBC信託銀行 | 75% |
11 | 埼玉りそな銀行 | 75% |
12 | もみじ銀行 | 74% |
13 | 東和銀行 | 74% |
14 | 福井銀行 | 74% |
15 | りそな銀行 | 73% |
16 | 山陰合同銀行 | 73% |
17 | 足利銀行 | 73% |
18 | 鹿児島銀行 | 72% |
19 | 八十二銀行 | 72% |
20 | 新生銀行 | 71% |
21 | 大東銀行 | 71% |
22 | きらやか銀行 | 71% |
23 | みずほ銀行 | 70% |
24 | みずほ信託銀行 | 70% |
25 | 岩手銀行 | 70% |
26 | 東北銀行 | 70% |
27 | 大垣共立銀行 | 70% |
28 | 静岡銀行 | 69% |
29 | 東京スター銀行 | 69% |
30 | 七十七銀行 | 69% |
31 | 名古屋銀行 | 68% |
32 | 三菱UFJ銀行 | 68% |
33 | ジャパンネット銀行 | 68% |
34 | 十六銀行 | 68% |
35 | 佐賀共栄銀行 | 68% |
36 | 山形銀行 | 67% |
37 | 豊和銀行 | 67% |
38 | 福島銀行 | 67% |
39 | 阿波銀行 | 67% |
40 | 長野銀行 | 66% |
(以下略) |
出典:「顧客本位の業務運営」の取組成果の公表状況(2020)金融庁
総じて銀行で投資信託を購入した人はあまり儲かっていない傾向があります。
これは各販売会社における投資信託のコスト・リターンを見てみれば明らかです。銀行でおもに販売している投資信託は、高コスト・低リターンの傾向がはっきりと表れています。信用金庫や対面証券会社も同様です。
一方で各販売会社における投資信託のリスク・リターンを見てみると、銀行でおもに販売している投資信託はローリスク・ローリターンのものが多くなっています。
「ハイリスク・ハイリターンで高コスト」や「ローリスク・ローリターンで低コスト」なら分かるのですが、銀行ではローリスク・ローリターンの投信を高コストで販売していることになります。
つまり、銀行は投資信託のラインナップの筋が悪いということです。
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