NISA(少額投資非課税制度)とは、上場株式や投資信託などの利益にかかる税金が非課税になる制度です。NISAを利用するには、金融機関にNISA口座を開設する必要があります。
NISAの種類
新NISA制度では「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類があり、両方を併用することができます。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有期間 | 無期限 | 無期限 |
非課税保有限度額 | 成長投資枠と合せて1,800万円 | 1,200万円 |
投資対象商品 | 上場投資信託の受益権(ETF) 公募株式投資信託の受益権 |
上場株式 上場投資信託の受益権(ETF) 公募株式投資信託の受益権 上場不動産投資法人の投資口(REIT) |
対象年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 |
つみたて投資枠
新NISA制度における「つみたて投資枠」は、毎月同額を積み立てることで、年間に120万円まで投資することができます。
「つみたて投資枠」の非課税保有限度額は「成長投資枠」と合せて1,800万円です。「つみたて投資枠」だけで1,800万円投資することもできますし、「つみたて投資枠」の600万円と「成長投資枠」の1,200万円で合計1,800万円にすることもできます。
「つみたて投資枠」で投資可能な商品は金融庁が指定する投資信託及びETFに限られます。これらの商品は、現行の「つみたてNISA」で投資可能な商品と同じです。「つみたて投資枠」で投資可能な商品について詳しくは、次の記事をご覧ください。

積立投資に限定されている
成長投資枠
新NISA制度における「成長投資枠」は年間に240万円まで投資できます。積立投資ではなく、1度に240万円を投資することもできます。
「成長投資枠」の非課税保有限度額は1,200万円です。ただし、非課税保有限度額は「成長投資枠」と合せて1,800万円という制限があります。既に「つみたて投資枠」で1,800万円使っている場合は、「成長投資枠」を利用できません。
「成長投資枠」で投資可能な商品は、上場株式と投資信託です。ただし、以下に示す上場株式と投資信託は対象外となります。
- 上場廃止のおそれがある監理銘柄
- 上場廃止が決まっている整理銘柄
- 信託期間が20年未満の投資信託
- 毎月分配型の投資信託
- 高レバレッジ型の投資信託
旧制度の「一般NISA」は非課税期間が5年であり、「つみたてNISA」の非課税期間20年と比べると見劣りがしました。そのため、「一般NISA」と「つみたてNISA」のどちらを選ぶのは難しい問題だったのですが、新NISA制度の「成長投資枠」は「つみたて投資枠」と比べて見劣りする部分がほとんどありません。新NISA制度では、まず「成長投資枠」を利用するのがよいでしょう。年間に240万円以上投資する場合に限り、「つみたて投資枠」を利用するのがベストな選択です。
スポット投資できる
確定申告不要
NISAで利益が出た場合、確定申告する必要はありません。
配当金を非課税にするには株式数比例配分方式を選ぶ
国株式配当金や投資信託分配金の受取方法には、3つの方式があります。
方式 | 金融機関 | NISA口座 |
---|---|---|
配当金領収書方式 | 郵便局 | 課税 |
登録配当金受領口座方式 | 銀行 | 課税 |
株式数比例配分方式 | 証券会社 | 非課税 |
配当金領収書方式とは、配当金を「配当金領収書」で受け取る方式です。郵送される「配当金領収書」を郵便局へ持っていくと、現金と換金できます。
登録配当金受領口座方式を選ぶと、配当金が銀行口座に振り込まれます。配当を受け取る銀行口座をあらかじめ登録しておく必要があります。
株式数比例配分方式を選ぶと、証券会社の証券口座に配当金が入金されます。複数の証券会社を使っている場合は、それぞれの証券会社の預り株数に応じた配当金がその証券口座に入金されます。
NISAで配当金を非課税にするには、「株式数比例配分方式」を選ぶ必要があります。
NISAのデメリット
NISAには次のデメリットもあります。
- 損益通算ができない
- 損失を繰越しできない
- 一般口座や特定口座から移管できない
損益通算ができない
非課税という大きなメリットがあるNISAですが、デメリットもあります。NISA口座と他の口座(一般口座や特定口座)との損益通算はできません。
NISA以外で1年の間に100万円の利益と100万円の損失があった場合、これらの損益を通算すると損益なしとなり、税金がかかりません。
NISA以外で100万円の利益があり、NISAで100万円の損失があった場合、これらは損益通算はできず、NISA以外の100万円が課税対象となります。つまり、場合によってはNISAを利用することにより、税金が増えることもあります。
損失を繰越しできない
一般口座や特定口座で譲渡損が出た場合、その損失を最大3年間繰り越せます。3年間の間に譲渡益が出れば、損益通算ができます。
NISA口座の場合は、損失を繰越しできません。
一般口座や特定口座から移管できない
一般口座や特定口座で保有している株式や投資信託等をNISA口座へ移管することは、制度上できません。NISA口座は、NISA口座内で新たな資金により買い付けた株式や投資信託等のみ保有できます。
移管 | 移管可能か |
---|---|
一般口座・特定口座 → NISA口座 | × |
NISA口座 → 一般口座・特定口座 | 〇 |
NISAをどのように利用すべきか
前述のとおり、NISAは利益が出た場合は大きなメリットがある一方、損失が出た場合はそのメリットを生かせません。株式のようなハイリスク・ハイリターンの投資は大きなメリットを享受できる可能性がありますが、NISAのメリットを受けられない可能性も高くなります。債券のようなローリスク・ローリターンの投資はメリットが少ないものの、NISAのメリットを受けられる可能性が高くなります。
適切な分散投資を行っていれば、投資期間が長くなるほど利益が出る可能性が高くなるので、非課税期間が長い積立NISAでハイリスク・ハイリターンの投資を行うのがNISA制度をうまく使えるのではないかと思います。
株式や投資信託の運用益が非課税になるという点で、NISAは個人型確定拠出年金(iDoCo)と似ています。ただし、iDeCoは60歳になるまでは(非課税で)売却できなかったり、費用がかかるなどのデメリットがあります。しかし、iDoCoは掛金が全額所得控除の対象となる強力なメリットがあります。老後の資金を貯める目的であれば、NISAよりiDeCoを優先すべきでしょう。
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参考文献
金融庁 (2023) 新しいNISA
金融庁 (2024) NISA特設ウェブサイト
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