NISA(少額投資非課税制度)とは、上場株式や投資信託などの利益にかかる税金が非課税になる制度です。NISAを利用するには、金融機関にNISA口座を開設する必要があります。
NISAとは
少額投資非課税制度(NISA)には「一般NISA」、「つみたてNISA」および「ジュニアNISA」の3種類があります。
一般NISA | つみたてNISA | ジュニアNISA | |
---|---|---|---|
年齢制限 | 20歳以上 | 20歳未満 | |
非課税期間 | 最長5年 | 最長20年 | 最長5年 |
非課税投資金額 | 120万円/年 | 40万円/年 | 80万円/年 |
最大非課税投資金額 | 600万円 | 800万円 | – |
ロールオーバー | 可 | 不可 | 可 |
金融機関の変更 | 可 | 可 | 不可 |
確定申告 | 申告不要 |
NISAの非課税投資枠
NISAには投資できる金額と期間に制限があり、年間120万円が5年間まで非課税になります。
年間120万円までの上限は投資元本の制限であり、資産の評価額ではありません。たとえば、100万円投資した株式の評価額が120万円になっても、NISA枠がいっぱいになるわけではありません。ただし、投資信託の分配金を再投資した場合は枠を使います。
種類 | 新規投資による非課税枠 | 非課税期間 | 非課税投資枠 |
---|---|---|---|
NISA | 毎年120万円 | 最長5年間 | 最大600万円 |
つみたてNISA | 毎年40万円 | 最長20年間 | 最大800万円 |
ジュニアNISA | 毎年80万円 | 最長5年間 | 最大400万円 |
未成年向けのジュニアNISAについて詳しく知りたい方は、次の記事もご覧ください。
関連記事 ジュニアNISAとは
確定申告不要
NISAで利益が出た場合、確定申告する必要はありません。
非課税期間
NISAには非課税期間が決められていて、5年間は売却益に課税されません。
非課税期間が終了した場合は、NISA口座から一般講座に移管するか、新しい年の分のNISA口座に移管することができます。
現行制度ではNISAの投資可能期間は2023年までですが、平成29年度税制改革により、恒久化される予定です。
非課税期間終了後にNISA口座に移管
平成29年度税制改革により、非課税期間が終了したNISA口座から他の年分のNISA口座に移管する場合は、金額の上限が撤廃されるようになります。つまり、120万円を超えていても全額を移管できます。
非課税期間終了後に一般口座に移管
NISAの非課税期間終了後に一般講座に移管することもできます。この場合、取得価額はその時点での評価額となります。
NISA口座で120万円投資した後、非課税期間終了時点で評価額が100万円に下がった場合、一般口座に移管すると取得価額は100万円になります。つまり、その後120万円に値上がりした(元の値段に戻った)場合、20万円の利益が出たとみなされて課税対象となります。この問題については、平成29年度税制改革により解消される見込みです。
配当金を非課税にするには株式数比例配分方式を選ぶ
国株式配当金や投資信託分配金の受取方法には、3つの方式があります。
方式 | 金融機関 | NISA口座 |
---|---|---|
配当金領収書方式 | 郵便局 | 課税 |
登録配当金受領口座方式 | 銀行 | 課税 |
株式数比例配分方式 | 証券会社 | 非課税 |
配当金領収書方式とは、配当金を「配当金領収書」で受け取る方式です。郵送される「配当金領収書」を郵便局へ持っていくと、現金と換金できます。
登録配当金受領口座方式を選ぶと、配当金が銀行口座に振り込まれます。配当を受け取る銀行口座をあらかじめ登録しておく必要があります。
株式数比例配分方式を選ぶと、証券会社の証券口座に配当金が入金されます。複数の証券会社を使っている場合は、それぞれの証券会社の預り株数に応じた配当金がその証券口座に入金されます。
NISAで配当金を非課税にするには、「株式数比例配分方式」を選ぶ必要があります。
NISAのデメリット
NISAには次のデメリットもあります。
- 損益通算ができない
- 損失を繰越しできない
- 一般口座や特定口座から移管できない
損益通算ができない
非課税という大きなメリットがあるNISAですが、デメリットもあります。NISA口座と他の口座(一般口座や特定口座)との損益通算はできません。
NISA以外で1年の間に100万円の利益と100万円の損失があった場合、これらの損益を通算すると損益なしとなり、税金がかかりません。
NISA以外で100万円の利益があり、NISAで100万円の損失があった場合、これらは損益通算はできず、NISA以外の100万円が課税対象となります。つまり、場合によってはNISAを利用することにより、税金が増えることもあります。
損失を繰越しできない
一般口座や特定口座で譲渡損が出た場合、その損失を最大3年間繰り越せます。3年間の間に譲渡益が出れば、損益通算ができます。
NISA口座の場合は、損失を繰越しできません。
一般口座や特定口座から移管できない
一般口座や特定口座で保有している株式や投資信託等をNISA口座へ移管することは、制度上できません。NISA口座は、NISA口座内で新たな資金により買い付けた株式や投資信託等のみ保有できます。
移管 | 移管可能か |
---|---|
一般口座・特定口座 → NISA口座 | × |
NISA口座 → 一般口座・特定口座 | 〇 |
積立NISA
積立NISAとは、毎年40万円までの投資を最大20年間の間非課税にする制度で、2019年1月から始まります。
従来のNISAと比べ、投資上限額が3分の1、非課税期間が4倍になっています。ただし、従来のNISAと併用はできず、どちらか一方のみ利用できます。
NISAと積立NISAの比較表
NISA | 積立NISA | |
---|---|---|
1年あたりの投資上限額 | 120万円 | 40万円 |
非課税期間 | 5年間 | 20年間 |
NISAの場合はほぼ全ての株式や投資信託に投資できますが、積立NISAの場合は、次の条件を満たした投資信託だけに投資が限られます。
- 信託期限が無期限または20年以上であること
- 毎月分配型でないこと
また、積立NISAの投資方法は、定期かつ継続的な方法による買付に限られます。NISAと異なり、一括投資はできません。
NISAをどのように利用すべきか
前述のとおり、NISAは利益が出た場合は大きなメリットがある一方、損失が出た場合はそのメリットを生かせません。株式のようなハイリスク・ハイリターンの投資は大きなメリットを享受できる可能性がありますが、NISAのメリットを受けられない可能性も高くなります。債券のようなローリスク・ローリターンの投資はメリットが少ないものの、NISAのメリットを受けられる可能性が高くなります。
適切な分散投資を行っていれば、投資期間が長くなるほど利益が出る可能性が高くなるので、非課税期間が長い積立NISAでハイリスク・ハイリターンの投資を行うのがNISA制度をうまく使えるのではないかと思います。
株式や投資信託の運用益が非課税になるという点で、NISAは個人型確定拠出年金(iDoCo)と似ています。ただし、iDeCoは60歳になるまでは(非課税で)売却できなかったり、費用がかかるなどのデメリットがあります。しかし、iDoCoは掛金が全額所得控除の対象となる強力なメリットがあります。老後の資金を貯める目的であれば、NISAよりiDeCoを優先すべきでしょう。
新NISAとは
現在は「一般NISA」と「つみたてNISA」の2種類に分かれていますが、2024年から新NISA制度が始まります。新NISAでは、2階建ての複雑な制度に変更されます。
現行のNISAでは「一般NISA」と「つみたてNISA」のどちらか片方を選ぶ必要があり、両方を併用することはできません。
新NISA制度では「1階」、「2階」および「つみたてNISA」の3種類になります。すべてを併用することができますが、つみたてNISAと2階には利用条件があります。
新NISA | 新つみたてNISA | ||
---|---|---|---|
1階 | 2階 | ||
投資可能金額 | 年間20万円まで | 年間102万円まで | 年間40万円まで |
非課税期間 | 5年間 | 5年間 | 20年間 |
買い方 | 積立のみ | 一括および積立 | 積立のみ |
対象商品 | つみたてNISA対象商品 | 上場株式 ETF REIT 公募株式投信 | つみたてNISA対象商品 |
条件 | なし | 1階の利用または 一般NISA投資経験者 | 1階からのロールオーバー |
1階
新NISAの1階部分は、誰でも無条件で利用できます。
新NISAにおける1階部分の非課税期間は、最長5年間です。非課税期間終了後は、「新つみたてNISA」へ移行することができます。
2階
新NISAの2階部分を利用するには、次のうちいずれかの条件を満たす必要があります。
- 1階部分を利用している
- 2階部分のみを利用するには、現行一般NISAの利用者または投資経験者
新NISAにおける2階部分の非課税期間は、最長5年間です。非課税期間が終了しても、「新つみたてNISA」へ移行することはできません。
つみたてNISA
2024年から「つみたてNISA」を利用するには、新NISA1階部分の非課税期間5年が終了した後に移行する必要があります。
ジュニアNISA
ジュニアNISAは廃止されます。
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