iDeCo(個人型確定拠出年金)とは?わかりやすく節税や手数料を解説

個人型確定拠出年金(iDeCo)とは、個人が年金の掛け金を毎月積み立て、年金を運用する金融商品を自分で選び、運用次第で決まる年金を60歳以降に受け取る年金です。

iDeCoとは

日本は国民皆年金制度を取っているので、国内に住所がある20歳以上かつ60歳未満の人は、全員が国民年金に加入する義務があります。

個人型確定拠出年金とは、国民年金に加えて、個人が任意で加入できる年金です。英語表記の「Individual-type defined contribution pension plan」を略した「iDeCo」という愛称が付けられています。

受け取る年金の額があらかじめ決まっている確定給付型の年金と異なり、確定拠出年金は運用次第で受け取る年金の額が変わるのが特徴です。

確定拠出年金と確定給付年金の違い
確定拠出年金確定給付年金
年金の例iDeCo国民年金
厚生年金
年金支給額運用次第で変動するあらかじめ決まっている

国民年金や厚生年金はお互いに助け合う公助なので、個人の財産ではありません。年金受給者が受け取っている年金の財源は、そのとき若い世代が納めている年金保険料です。被保険者が死亡すると、国民年金や厚生年金を受け取ることができません。

iDeCoは個人の財産なので、被保険者が死亡しても配偶者や子供が相続することができます。

節税

個人型確定拠出年金(iDeCo)には、さまざまな税制優遇があります。

  • 毎月積み立てる掛け金は全額所得控除の対象となり、課税されません。
  • 運用する金融商品の運用益は課税されません。
  • 年金として受け取る場合は雑所得(公的年金等)となり、公的年金等控除が適用されます。
  • 一時金として受け取る場合は退職所得として課税され、退職所得控除が適用されます。

個人型確定拠出年金の掛け金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となります。

掛金を給与天引きで支払った場合は、社会保険料と小規模企業共済等掛金の合計を控除した残額に相当する金額の給与の支払いがあったものと見なされて源泉徴収額が計算されます。

掛金を銀行口座からの口座振替で支払った場合は、毎年10月に国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込み証明書 確定拠出年金(個人型年金)」が郵送されます。これが所得控除の証明書になります。所得税の確定申告の際、「所得から差し引かれる金額」の「小規模企業共済等掛金控除」に掛金の金額を記載します。

小規模企業共済等掛金控除

iDeCoの加入資格

次の方は個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入資格があります。

  • 自営業者
  • 学生
  • 会社員(例外あり)
  • 公務員
  • 専業主婦

企業型確定拠出年金に加入している会社員は、企業型年金規約で個人型確定拠出年金(iDeCo)に同時に加入してよい旨を定めている場合のみ、iDeCoに加入できます。

掛金の上限

個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金は月額5,000円以上、1,000円単位で任意に決めることができます。ただし、上限があります。

iDeCo掛金の上限
加入者上限(月額)
自営業者(第1号被保険者)68,000円
会社員(第2号被保険者)23,000円
会社員の専業主婦(第3号被保険者)23,000円
企業型確定拠出年金に加入している会社員20,000円
厚生年金基金または確定給付企業年金に加入している会社員12,000円
公務員(第2号被保険者)12,000円

原則としてiDeCoは毎月掛金を積み立てます。

ただし、年1回以上であれば任意の月に掛金を拠出することができます。積み立てられる金額は、経過月の限度額を積み上げたものになります。

たとえば、会社員の場合は1月に積み立てられる金額は23,000円が上限となります。もし1月に積み立てなかった場合、2月に積み立てられる金額は46,000円が上限となります。

拠出の下限額も同様に経過月の下限額を積み上げたものになります。たとえば会社員の場合、1月に積み立てられる最低額は5,000円です。もし1月に積み立てなかった場合、2月に積み立てられる最低額は10,000となります。

iDeCo掛金の限度額
最低額会社員の上限額自営業者の上限額
1月5,000円23,000円68,000円
2月10,000円46,000円136,000円
3月15,000円69,000円204,000円
4月20,000円92,000円272,000円
5月25,000円115,000円340,000円
6月30,000円138,000円408,000円
7月35,000円161,000円476,000円
8月40,000円184,000円544,000円
9月45,000円207,000円612,000円
10月50,000円230,000円680,000円
11月55,000円253,000円748,000円
12月60,000円275,000円816,000円

国民年金基金連合会に支払う手数料103円は積み立てした月にだけかかります。毎月積み立てた場合は1年に103円×12か月=1,236円かかりますが、年に1回だけ積み立てた場合は103円だけで済みます。

手数料を節約するために年に1回だけ積み立てる場合、最大限度を拠出しようとすると、12月に積み立てることになります。

自営業者等の第1号被保険者のiDeCo掛金上限は月額68,000円ですが、付加年金保険料を納付していたり、国民年金基金に加入している場合は、次のようになります。

iDeCo掛金上限
条件掛金上限金額
第1号被保険者68,000円
付加年金保険料の納付者67,000円
国民年金基金の加入者68,000円 - 国民年金基金の掛金月額

iDeCoの手数料

節税効果の大きい個人型確定拠出年金(iDeCo)ですが、手数料も結構かかります。個人型確定拠出年金)にかかる費用として、次のものがあります。

iDeCoに加入するときの手数料

初めて個人型確定拠出年金に加入するときに、国民年金基金連合会に手数料を支払う必要があります。

加入手数料 2,829円

すでに企業型確定拠出年金に加入している人が、個人型確定拠出年金に移管するときにも加入手数料がかかります。

月々の手数料

個人型確定拠出年金は月々の手数料がかかります。

iDeCoの手数料(月額)
種類支払先手数料(月額)
加入者運用指図者
事務手数料国民年金基金連合会105円なし
資産管理手数料信託銀行66円
運営管理手数料運営管理機関金融機関によって異なる

事務手数料

加入者(積立を行う人)は国民年金基金連合会に事務手数料を月々支払う必要があります。

事務手数料 月額105円

どこの金融機関でiDeCoを利用しても、この金額は変わりません。

資産管理手数料

資産管理手数料は信託銀行にかかる手数料で、毎月支払う必要があります。

資産管理手数料 月額66円

どこの金融機関でiDeCoを利用しても、この金額は変わりません。

運営管理機関手数料

運営管理機関手数料は、証券会社や銀行などの金融機関が自由に決めてよいので、金融機関によって異なります。

iDeCoの運営管理機関手数料
業種金融機関手数料(月額)
銀行イオン銀行0円
みずほ銀行0円
三井住友銀行(みらいプロジェクトコース)0円
三井住友銀行(標準コース)260円
三菱UFJ銀行(標準コース)385円
三菱UFJ銀行(ライトコース)260円
ゆうちょ銀行259円
証券会社SBI証券0円
SMBC日興証券260円
大和証券0円
野村證券0~288円
楽天証券0円

還付手数料

事務手続きのミスなどによって掛金の限度額を超えて拠出したり、加入資格のない月に掛金を拠出すると、国民年金基金連合会から掛金が加入者に還付されます。このとき、還付手数料が徴収されます。

還付手数料 1,048円

金融商品の手数料

iDeCoで運用する金融商品自体の手数料(投資信託の信託報酬など)もかかります。

年金資産の記録管理機関

個人型確定拠出年金(iDeCo)には、年金資産の記録管理機関があり、次の4社が行っています。

  • 日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー株式会社(JIS&T)
  • SBIベネフィット・システムズ株式会社
  • 日本レコード・キーピング・ネットワーク株式会社
  • 損保ジャパン日本興亜DC証券

これらの会社を通じて年金資産の記録を照会することができます。

確定申告

個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象となります。

小規模企業共済等掛金控除を受けるには、確定申告の必要があります。

e-Taxで確定申告書等を作成する場合、「所得から差し引かれる金額」の「小規模企業共済等掛金控除」をクリックします。

iDeCoの確定申告

「小規模企業共済等下記金控除の入力」画面で「確定拠出年金法の企業型年金・個人型年金加入者掛金(iDeCo(イデコ))」の欄に、払い込んだ掛金の金額を入力します。

iDeCoの確定申告

給付

個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者は、次に示す給付金または一時金を受け取れます。

  • 老齢給付金
  • 障害給付金
  • 死亡一時金

老齢給付金

iDeCoの加入者は、原則として60歳から老齢給付金を受け取れます。ただし、確定拠出年金の通算加入者等期間が60歳時点で10年未満の場合は、老齢給付金の受取り開始可能年齢がずれ込みます。

確定拠出年金の通算加入者等期間とは、下記すべての期間を合計したものです。

  • 企業型確定拠出年金加入者期間
  • 企業型確定拠出年金運用指図者期間
  • 個人型確定拠出年金加入者期間
  • 個人型確定拠出年金運用指図者期間
老齢給付金の受取り開始可能年齢
通算加入者等期間受取り開始可能年齢
10年以上60歳
8年以上 10年未満61歳
6年以上 8年未満62歳
4年以上 6年未満63歳
2年以上 4年未満64歳
2年未満65歳

iDeCoの老齢給付金を受け取る方法には次に示す2種類があり、いずれかを選べます。

  • 一時金
  • 年金

一時金と年金には、次に示すような違いがあります。

一時金と年金の違い
一時金年金
受取り方法全額を一度に受け取る分割して受け取る
所得の区分退職所得公的年金等の雑所得
所得控除退職所得控除公的年金等控除

年金

老齢給付金の受取り方法として年金を選んだ場合、支払い月を次のうちいずれかから選ぶことができます。

老齢給付金の受取り開始可能年齢
年回数支払い月
年1回12月
年2回6月・12月
年4回3月・6月・9月・12月
年6回2月・4月・6月・8月・10月・12月

おすすめ

iDeCoは金融機関によって商品ラインナップが異なります。各金融機関のおすすめ度は次のとおりです。

おすすめのiDeCo
金融機関おすすめ度
au1.0
MYDC1.0
SBI証券5.0
野村證券2.0
みずほ銀行4.0
楽天証券3.0

SBI証券のiDeCoは低コストインデックスファンドの「eMAXIS Slim」を多数取り揃えており、おすすめです。

楽天証券のiDeCoは低コストインデックスファンドの「たわらノーロード」を取り扱っていますが、種類が少ないです。たわらノーロードであれば、みずほ銀行のiDeCoの方が充実しています。

iDeCoをどのように利用すべきか

株式や投資信託の運用益が非課税になるという点で、iDeCoは個人型確定拠出年金(NISA)と似ています。ただし、iDeCoは60歳になるまでは(非課税で)売却できなかったり、費用がかかるなどのデメリットがあります。しかし、iDoCoは掛金が全額所得控除の対象となる強力なメリットがあります。老後の資金を貯める目的であれば、NISAよりiDeCoを優先すべきでしょう。

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