証券会社や銀行などの金融機関のうち、儲かっている客が多いのはどこなのか興味がありませんか? どこも大差ないだろうと考えがちですが、実際には金融機関によって凄まじい格差があることが明らかになりました。
顧客が儲かっている証券会社・銀行ランキング
投資信託を購入した顧客のうち、どのくらいの割合が利益を得たのかなどを明らかにするために、金融機関向けに定めた「比較可能な共通指標(KPI)」について、金融庁が2022年5月13日に分析結果を公表しました。
銀行
銀行で投資信託を購入した顧客のうち、何割が利益が出ているかを示したランキングは次のとおりです。
順位 | 金融機関 | 割合 |
---|---|---|
1 | みずほ信託銀行 | 90% |
2 | ソニー銀行 | 89% |
3 | イオン銀行 | 89% |
4 | SMBC信託銀行 | 88% |
5 | 三井住友銀行 | 88% |
6 | 三菱UFJ銀行 | 87% |
7 | りそな銀行 | 87% |
(全業態平均) | 84% | |
8 | ゆうちょ銀行 | 83% |
9 | SBI新生銀行 | 83% |
10 | みずほ銀行 | 83% |
11 | 三井住友信託銀行 | 81% |
12 | 三菱UFJ信託銀行 | 80% |
13 | あおぞら銀行 | 74% |
14 | オリックス銀行 | 70% |
総じて銀行で投資信託を購入した人はあまり儲かっていない傾向があります。
これは各販売会社における投資信託のコスト・リターンを見てみれば明らかです。銀行でおもに販売している投資信託は、高コスト・低リターンの傾向がはっきりと表れています。信用金庫や対面証券会社も同様です。
一方で各販売会社における投資信託のリスク・リターンを見てみると、銀行でおもに販売している投資信託はローリスク・ローリターンのものが多くなっています。
「ハイリスク・ハイリターンで高コスト」や「ローリスク・ローリターンで低コスト」なら分かるのですが、銀行ではローリスク・ローリターンの投信を高コストで販売していることになります。
つまり、銀行は投資信託のラインナップの筋が悪いということです。
証券会社
証券会社で投資信託を購入した顧客のうち、何割が利益が出ているかを示したランキングは次のとおりです。
順位 | 証券会社 | 割合 |
---|---|---|
1 | 楽天証券 | 95% |
1 | PWM日本証券 | 95% |
3 | SBI証券 | 94% |
4 | 丸三証券 | 93% |
5 | 野村證券 | 92% |
6 | GMOクリック証券 | 91% |
6 | マネックス証券 | 91% |
8 | 四国アライアンス証券 | 90% |
9 | auカブコム証券 | 89% |
10 | フィデリティ証券 | 88% |
10 | みずほ証券 | 88% |
10 | 木村証券 | 88% |
13 | CONNECT | 86% |
13 | SMBC日興証券 | 86% |
13 | 西村証券 | 86% |
13 | 東洋証券 | 86% |
17 | 豊証券 | 85% |
18 | 岩井コスモ証券 | 85% |
19 | 百五証券 | 85% |
20 | 岡三オンライン証券 | 84% |
(全業態平均) | 84% | |
21 | ぐんぎん証券 | 83% |
22 | あかつき証券 | 82% |
22 | 証券ジャパン | 82% |
22 | 大和証券 | 82% |
22 | 東海東京証券 | 82% |
22 | いちよし証券 | 82% |
22 | ワイエム証券 | 82% |
28 | むさし証券 | 81% |
28 | 北洋証券 | 81% |
28 | 八十二証券 | 81% |
28 | 岡三証券 | 81% |
28 | FFG証券 | 81% |
28 | 中銀証券 | 81% |
28 | 西日本シティTT証券 | 81% |
35 | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 80% |
35 | 岡三にいがた証券 | 80% |
証券会社で投資信託を購入した顧客で利益が出ている割合は、銀行で投資信託を購入した顧客より好成績ですが、後述するその他事業者で投資信託を購入した顧客より劣後しています。
その他事業者
その他事業者で投資信託を購入した顧客のうち、何割が利益が出ているかを示したランキングは次のとおりです。
順位 | その他事業者 | 割合 |
---|---|---|
1 | ストラテジックキャピタル | 100% |
1 | 鎌倉投信 | 100% |
1 | 財コンサルティング | 100% |
1 | FPブレーン | 100% |
1 | コモンズ投信 | 100% |
6 | セゾン投信 | 99% |
7 | グローバー・アセットマネジメント | 99% |
7 | 住まいと保険と資産管理 | 99% |
9 | エフピーサポート | 98% |
10 | FPフローリスト | 98% |
10 | レオス・キャピタルワークス | 98% |
12 | GAIA | 95% |
12 | 嶋田商事 | 95% |
14 | Fan | 92% |
15 | 第一生命保険 | 86% |
(全業態平均) | 84% | |
16 | 日本郵便 | 83% |
17 | アイ・パートナーズフィナンシャル | 75% |
投信直販など、その他事業者で投資信託を購入した顧客で利益が出ている割合は、全業態平均である84%を超えています。銀行や証券会社で投資信託を購入した顧客と比べて、利益が出ている割合が高くなっています。これには次の理由が考えられます。
- 営業マンのすすめではなく自分で商品選びをしている
- 自社系列の投信会社だけでなく幅広い商品ラインナップを揃えている
- 回転売買が少なく積立投資の割合が多い
投信直販を利用するような層はファイナンシャル・リテラシーが高いと考えられるので、それが好成績につながっているのでしょう。
上位5社にいたっては、投資信託を購入した顧客の全員が利益を出しています。
セゾン投信は「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」や「セゾン資産形成の達人ファンド」など、人気の投信を直販している会社です。つみたてNISAにも対応しているので、積立投資に最適です。
レオス・キャピタルワークスは看板商品である「ひふみ投信」が売上の大半を占めているため、ひふみ投信の成績に左右されやすい構造になっています。
参考文献
金融庁 (2022) 「顧客本位の業務運営に関する原則」等に基づく取組方針を公表した金融事業者リスト(令和4年3月末時点)及び投資信託の共通KPIに関する分析(令和3年3月末基準)の公表について
みずほフィナンシャルグループ (2022) <みずほ>のフィデューシャリー・デューティーに関する取組方針
ソニー銀行 (2021) 共通KPIの現状
楽天証券 (2021) 投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI
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