「日産自動車株式会社第66回無担保社債(社債間限定同順位特約付)(サステナビリティボンド)」(愛称:サクラ(SAKURA)債)が2023年2月6日に発行されます。本社債の条件や買い方をご紹介します。
概要
日産自動車が発行する個人向け社債の概要は以下のとおりです。
名称 | 日産自動車株式会社第66回無担保社債 (社債間限定同順位特約付)(サステナビリティボンド) |
愛称 | サクラ(SAKURA)債 |
期間 | 約3年 |
利率 | 年1.015%(税引前) |
発行日 | 2023年2月6日 |
利払日 | 毎年1月20日および7月20日 |
償還日 | 2026年1月20日 |
発行価格 | 額面100円につき100円 |
申込単位 | 100万円単位 |
格付 | A (R&I) |
発行額 | 1,400億円 |
募集期間 | 2023年1月23日~2023年2月3日 |
「日産自動車株式会社第66回無担保社債(社債間限定同順位特約付)(サステナビリティボンド)」で募った資金は、設備資金、社債償還資金、借入金返済資金、投融資資金または一般運転資金等に充当する予定です。本社債の発行による手取金は、適格基準のいずれかに該当する新規または既存の事業に充当する予定です。
発行体
「日産自動車株式会社第66回無担保社債(社債間限定同順位特約付)(サステナビリティボンド)」(愛称:サクラ(SAKURA)債)の発行体は日産自動車株式会社です。日産自動車株式会社はルノー・グループの一員です。
日産自動車株式会社は、以下に示す格付会社から発行体格付を取得しています。
格付会社 | 格付 |
---|---|
スタンダード・アンド・プアーズ (S&P) | BBB- |
ムーディーズ・ジャパン (Moody’s) | Baa3 |
格付投資情報センター (R&I) | A |
※ムーディーズの「Baa3」は、他の格付会社における「BBB-」の意味です。
一般的に、格付「BBB」以上が投資適格とされています。S&PおよびMoody’sによる発行体格付では、投資適格最下位です。
日産自動車株式会社の業績は以下のとおりです。
2021年度 | 2020年度 | |
---|---|---|
連結売上高 | 84,246 | 78,626 |
連結営業利益 | 2,473 | △1,507 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 2,155 | △4,487 |
社債間限定同順位特約
「日産自動車株式会社第66回無担保社債(社債間限定同順位特約付)(サステナビリティボンド)」(愛称:サクラ(SAKURA)債)には担保がありませんが、社債間限定同順位特約がついています。
社債間限定同順位特約とは、日産自動車株式会社が今後担保付きの社債を発行する場合は、「日産自動車株式会社第66回無担保社債(社債間限定同順位特約付)(サステナビリティボンド)」(愛称:サクラ(SAKURA)債)にも同様に担保をつけるという特約です。
担保なしの債券より担保つきの債券の方が債権の回収優先順位が高いため、あとから発行された社債によって不利な扱いがされないという保証になります。
実際に担保がつけられることはほとんどなく、日産自動車株式会社が担保つきの社債を発行する意思がないという表明です。
サステナビリティボンド
日産自動車株式会社はサステナビリティ戦略に沿って、サステナブル・ファイナンス・フレームワークを策定しています。本フレームワークは、「グリーンボンド原則2021」、「ソーシャルボンド原則2021」および「サステナビリティボンド・ガイドライン2021」並びに「グリーンローン原則2021」および「ソーシャルローン原則2021」に沿って策定されており、第三者評価機関であるサステイナリティクスより、セカンドパーティ・オピニオンを取得しています。日産自動車株式会社はこのフレームワークに基づき、サステナビリティボンドを発行します。
利回り
「日産自動車株式会社第66回無担保社債(社債間限定同順位特約付)(サステナビリティボンド)」(愛称:サクラ(SAKURA)債)の利率は年1.015%(税引前)です。
格付け
「日産自動車株式会社第66回無担保社債(社債間限定同順位特約付)(サステナビリティボンド)」(愛称:サクラ(SAKURA)債)は格付投資情報センター(R&I)から2023年1月20日付で「A」の長期個別債務格付を取得しています。
格付投資情報センター(R&I)による格付事由は次のとおりです。
世界的な自動車メーカー。構造改革策の進展や金融事業の利益貢献から2021年度は営業損益が黒字に転換した。自動車事業は相応のネットキャッシュを保っている。ただし半導体不足による生産制約などから自動車事業には営業赤字が残った。世界情勢や自動車を取り巻く事業環境が不透明であり、収益力・キャッシュフロー創出力を十分に回復していけるか慎重にみる必要がある。このため発行体格付Aを維持して、方向性ネガティブを継続した。
日産はグローバルに事業を展開して、北米や中国、日本で比較的高い市場地位にある。電動化や先進運転支援の技術開発力も備える。過去の拡大戦略を見直して、収益基盤の立て直しと収益力の回復に向けた構造改革を進めてきた。アライアンスを組む仏Renault SAや三菱自動車工業とは、車台共有や電動化を含む先進技術の対応において幅広く協力している。日産は2030年に向けて電動車のモデルミックスを50%以上へと拡大する方針だ。
2021年度は損益が大きく改善して、2473億円の営業利益を確保できた。半導体不足に伴う生産制約から販売台数は減少したが、新車投入や販売の質改善の効果が台当たり売上高の上昇と販売奨励金の減少に表れている。生産能力の縮小や品ぞろえの見直しなどで3500億円以上の固定費削減も達成した。販売金融事業は利益貢献が大きく、資産の質は良好だ。連結全体でみても一定の財務基盤を持ち、十分な流動性を確保している。
収益力は持ち直してきたが、販売金融を除く自動車事業の収益性はまだ低迷している。新車投入や事業効率化の効果を発現して、収益力をさらに引き上げていくことが格付の維持に重要だ。2022年度は生産・販売台数の回復から自動車事業の損益改善が続く可能性があるものの、外部環境におけるリスク要因が増えている。世界経済の減速に加え、資源高騰や半導体不足の影響に注意を要する。新型コロナの問題から中国では都市封鎖により経済が停滞している。今後の収支動向とともに、アライアンス先との協業の行方にも注目していく。
販売会社
以下に示す証券会社で「日産自動車株式会社第66回無担保社債(社債間限定同順位特約付)(サステナビリティボンド)」(愛称:サクラ(SAKURA)債)を販売します。
証券会社 | 引受額 |
---|---|
みずほ証券 | 500億円 |
SMBC日興証券 | 700億円 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 200億円 |
計 | 1,400億円 |
みずほ証券
みずほ証券は「日産自動車株式会社第66回無担保社債(社債間限定同順位特約付)(サステナビリティボンド)」の買付注文をネット倶楽部(オンライントレード)でも取り扱っています。
SMBC日興証券
SMBC日興証券では「日産自動車株式会社第66回無担保社債(社債間限定同順位特約付)(サステナビリティボンド)」(愛称:サクラ(SAKURA)債)をオンライントレードで取り扱っています。在庫は支店毎に異なることがあります。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は「日産自動車株式会社第66回無担保社債(社債間限定同順位特約付)(サステナビリティボンド)」の買付注文をネット(オンライントレード)でも取り扱っています。
スケジュール
「日産自動車株式会社第66回無担保社債(社債間限定同順位特約付)(サステナビリティボンド)」(愛称:サクラ(SAKURA)債)の条件決定から償還までのスケジュールは以下のとおりです。
- 2023.1.20条件決定
- 2023.1.23募集開始
- 2023.2.3募集終了
- 2023.2.6発行
- 2023.7.20利払い
- 2024.1.20利払い
- 2024.7.20利払い
- 2025.1.20利払い
- 2025.7.20利払い
- 2026.1.20利払い・償還
関連記事
参考文献
日産自動車株式会社 (2022) 格付・社債情報
日産自動車株式会社 (2023) 財務・業績ハイライト
株式会社格付投資情報センター (2023) NEWS RELEASE
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