子供の教育資金を借りる教育ローンには、国の教育ローンと民間の教育ローン、日本学生支援機構の奨学金の3種類があります。これらの特徴と違いをご紹介します。
教育一般貸付(国の教育ローン)
公的な教育ローンとして、日本政策金融公庫の教育一般貸付(国の教育ローン)があります。
資金使途は、入学金や授業料等のほか、アパートの家賃など住居にかかる費用や受験料・受験時の交通費・宿泊費等も含まれます。利用にあたって、学業成績は問われません。
教育一般貸付(国の教育ローン)の融資限度額は、学生・生徒1人につき最高350万円までです。海外留学資金の場合は、一定の条件付きで最高450万円までになります。
金利は固定金利で、返済期間は最長15年までです。
利用条件には世帯の年収制限があり、子供の数によって異なります。世帯年収が200万円以下の人などでは優遇制度もあります。
融資限度額 | 1人につき最高350万円まで |
金利 | 年率1.68%(固定金利) |
返済期間 | 最長15年 |
保護者の所得制限 | あり(扶養する子の人数に応ずる) |
金利
教育一般貸付(国の教育ローン)の金利は固定金利で、年率1.68%です。
※2021年4月現在
審査
教育一般貸付(国の教育ローン)の審査は、勤務、収入、借入れ、住宅ローンの返済などの状況から総合的に判断されます。
学生本人でも申し込める
通常、学生の保護者が教育一般貸付(国の教育ローン)に申し込みますが、条件さえ満たせば学生本人が申し込むこともできます。
成人で安定した収入があり、親とは独立した生計を営んでいれば、学生本人が教育一般貸付(国の教育ローン)を申し込むことができます。
民間の教育ローン
銀行など民間の教育ローンは、国の教育ローンと比較して次の特徴があります。
国の教育ローン | 民間の教育ローン | |
---|---|---|
審査 | 遅い | 速い |
融資限度額 | 少ない | 多い |
金利 | 低い | 高い |
担保 | 不要 | 必要な場合がある |
民間の教育ローンには有担保融資と無担保融資があり、有担保のほうが融資限度額が大きく、無担保融資よりも金利が低くなります。
民間の教育ローンには「一括借入型」と「カードローン型(都度借入型)」の2種類があります。
カードローン型は、融資限度額の範囲内で何度でも都度借り入れができます。学生が在学中は、利息のみ返済します。柔軟な借入れや返済ができる一方、貸出金利は高くなっています。
一括借入型 | カードローン型 | |
---|---|---|
借入れ | 一括 | 必要なときにその都度 |
在学中の返済 | 毎月一定額を返済 | 利息のみ返済 |
金利 | 低い | 高い |
各金融機関ごとの教育ローンを比較した表は次のとおりです。
金融機関 | 融資限度額 | 融資期間 |
---|---|---|
ろうきん | 2,000万円 | 15年以内 |
JA | 1,000万円 | 15年以内 |
イオン銀行 | 500万円 | 15年以内 |
楽天銀行 | 500万円 | 14年以内 |
三菱UFJ銀行 | 500万円 | 10年以内 |
三井住友銀行 | 300万円 | 15年以内 |
みずほ銀行 | 300万円 | 10年以内 |
他にも地方銀行等が教育ローンを提供しています。一般的に、メガバンクより地銀の方が融資限度額が大きくなります。
ろうきん
ろうきん(中央労働金庫)の教育ローンには、カード型と証書貸付型の2種類があります。
カード型 | 証書貸付型 | |
---|---|---|
利用できる人 | 団体会員の構成員 生協会員の組合員および同一生計家族 |
団体会員の構成員 生協会員の組合員および同一生計家族 一般の勤労者 |
金利型 | 変動金利 | 変動金利または固定金利 |
カード型
ろうきん(中央労働金庫)のカード型教育ローンは、団体会員の構成員、生協会員の組合員および同一生計家族が利用できます。極度額の範囲内で、繰り返し利用できます。
証書貸付型
ろうきん(中央労働金庫)の証書貸付型教育ローンは、団体会員の構成員、生協会員の組合員および同一生計家族、一般の勤労者が利用できます。変動金利と固定金利のどちらかを選べます。
ゆうちょ
かつては国の教育ローンに「郵貯貸付」がありましたが、民営化に伴い廃止されました。
日本学生支援機構の奨学金
日本学生支援機構の奨学金には、第一種奨学金、第二種奨学金および給付型奨学金の3種類があります。
奨学金 | 利息 | 返還 | 所得基準 |
---|---|---|---|
第一種奨学金 | 無利息 | 必要 | あり |
第二種奨学金 | 利息あり | 必要 | あり |
給付型奨学金 | 無利息 | 不要 | あり |
第一種奨学金
日本学生支援機構の第一種奨学金は、無利息で返還が必要な奨学金です。特に優れた者で、経済的理由により著しく修学に困難があると認定された者に貸与されます。ただし、低所得世帯の生徒についての成績基準は実質的に撤廃されています。
教育一般貸付(国の教育ローン)との重複利用もできます。
原則として在学している学校を通じて貸与を行い、卒業後に本人が返還します。進学前に奨学金を予約することもできます。定額返還方式のほか、所得連動返還方式も選べます。
返還が困難になった場合、月々の返還額を減らして返還期間を延ばす減額返還か、一定期間返還を先送りする返還期限猶予ができます。
第二種奨学金
日本学生支援機構の第二種奨学金は、有利息で返還が必要な奨学金です。第一種奨学金より基準は緩くなっています。
教育一般貸付(国の教育ローン)との重複利用もできます。
原則として在学している学校を通じて貸与を行い、卒業後に本人が返還します。進学前に奨学金を予約することもできます。
返還が困難になった場合、月々の返還額を減らして返還期間を延ばす減額返還か、一定期間返還を先送りする返還期限猶予ができます。
給付型奨学金
日本学生支援機構の給付型奨学金は、返還が不要な給付金で、高等学校等の推薦が必要です。ただし、学業成績が著しく不振である場合等は、返還が求められることがあります。
教育一般貸付(国の教育ローン)との重複利用もできます。
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