貸株とは、保有する株を証券会社に貸し出して、その貸し出し料を受け取るサービスです。貸株料は証券会社や銘柄により異なりますが、銀行の普通預金金利より高いのが一般的です。
貸株のメリット
貸株制度には、次のメリットがあります。
- 貸株料を受け取れる。
- 株を貸している間でも配当金や株主優待を受け取れる。
貸株金利を受け取れる
貸株を行うと、貸株金利(貸株料)を受け取れます。
貸株金利は銘柄によって異なりますが、年率0.1%以上が一般的です。中には1%の貸株料が付く銘柄もあります。
配当金や株主優待を受け取れる
株を貸すと名義が書き換えられますが、配当や株主優待の権利日だけ貸した株を返却するサービスがあります。これにより、配当金や株主優待を受け取ることができます。
貸株のデメリット
貸株制度には、次のデメリットがあります。
- 資産が保全されない
- 株主優待の長期保有特典が受けられない
資産が保全されない
株式を保有すると、証券保管振替機構(通称「ほふり」)により名義が書き換えられて、証券会社の資産と分別管理されます。株を貸すと名義が書き換えられるため、資産保全の対象外となってしまいます。
かつて山一證券が自主廃業したように、大手証券会社といえども安心できません。
株主優待の長期保有特典が受けられない
株主優待の中には長期保有者に対して特典を与えることがあります。貸株を行うと名義が書き換えられるため、株式保有の連続性が途切れて長期保有特典の対象外となります。
金利
貸株金利は時期や銘柄、証券会社によって異なります。
具体的な貸株金利は各証券会社でご確認ください。
配当金相当額とは
株式を貸出している間に配当金の受け取りが発生した場合、配当金に代わって配当金相当額が支払われます。配当金相当額で取得できる金額は、源泉徴収税額を差し引いた配当金の額と同額となります。
配当金 | 配当金相当額 | |
---|---|---|
税区分 | 配当所得 | 雑所得 |
株式等の譲渡損との通算 | できる | できない |
配当控除 | 対象 | 対象外 |
支払日 | 各企業が定める支払日 | 配当金支払日からおおよそ5営業日後 |
権利確定日時点において貸株が解除されてされていれば、配当金相当額ではなく、配当金として受け取ることができます。
NISA
貸株サービスで貸し出すことができるのは、特定口座または一般口座の株式のみです。
NISA口座およびジュニアNISA口座の株式は、貸株サービスの対象外です。
信用取引
信用取引口座と貸株を併用できるかどうかは、証券会社によって異なります。
証券会社 | 併用 |
---|---|
auカブコム証券 | 〇 |
SBI証券 | 〇 |
松井証券 | × |
マネックス証券 | 〇 |
楽天証券 | 〇 |
確定申告
貸株サービスで受け取った貸株金利は「雑所得」として課税対象になり、原則として確定申告が必要です。ただし、年収2,000万円以下の会社員で、給与所得と退職所得以外の所得が20万円以下であれば、確定申告不要です。
証券会社 | 所得区分 |
---|---|
貸株金利 | 雑所得 |
配当金相当額 | 雑所得 |
配当金 | 配当所得 |
株式の売却益 | 譲渡所得 |
貸株ができる証券会社
以下に示す証券会社で貸株サービスを提供しています。
SBI証券
SBI証券の米国貸株サービス「カストック」では、米国株式や米国ETFをSBI証券に貸し出すことで、保有する株式を売却することなく、貸し出した株式に応じた貸株金利を受け取ることができます。
auカブコム証券
GMOクリック証券
GMOクリック証券の貸株サービスには、以下に示す2種類のコースがあります。
- 優待優先コース
- 金利優先コース
優待優先コースとは、貸株サービスを利用中でも株主優待を自動で受け取ることができるサービスです。株主優待の権利付最終売買日の前に自動で貸株が一旦解除され、株主優待の権利を受け取ることができます。
- 権利付最終売買日の前営業日には株式の自動返却が完了し、株主優待の権利を獲得した後、権利確定日の翌営業日に再度自動的に貸株状態に戻ります。
- 権利付最終売買日の前営業日には株式の自動返却が完了し、株主優待の権利を獲得した後、権利確定日の翌営業日に再度自動的に貸株状態に戻ります。
- 配当金の代わりに配当金相当額を受け取ることができます。
金利優先コースは、株式の自動返却を行わず、株主優待を獲得しない代わりに、より多くの貸株金利を取得できます。
- 株主優待を自動で受け取ることはできません。
- 株主優待を取得したい場合は、権利付最終売買日の4営業日前の15:30までに、優待優先への変更を実施する必要があります。
- 配当金の代わりに配当金相当額を受け取ることができます。
マネックス証券
楽天証券
通常、株式を貸出すと株主の権利も貸出し先に移転してしまいますが、楽天証券の「株主優待・配当金自動取得サービス」では、貸株サービスを利用中でも株主優待や配当金を自動で受け取ることができます。
- 金利優先
- 株主優待優先
「金利優先」の貸株サービスは、株式の自動返却を行わず、貸株金利を継続取得できます。権利確定日は、貸株金利が通常の5倍になります。配当金は、配当金相当額として、お客様の預り金に入金されます。
「株主優待優先」の貸株サービスは、株主優待の権利確定日に、自動的にお客様の口座へ株式が返却され、株主優待の権利を受け取ることができます。株主優待情報がない場合は、配当金は配当金相当額としてお客様の預り金に入金されます。
楽天証券の貸株サービスには「変動金利」と「固定金利」の2種類のサービスがあります。
「変動金利」の貸株サービスは、貸株金利を週次で見直しを行い更新します。そのため、マーケット動向にフレキシブルに対応できるのが、変動金利の特徴となります。
一部のボーナス金利銘柄は期間限定で金利が固定になります。そのため、安定的に貸株金利を受け取ることできます。対象期間中に貸株金利を更に高く設定することはありますが、低く設定することはありません。
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