アンデス開発公社が「アンデス開発公社2031年6月16日満期円建債券」を2021年6月14日に発行します。アンデス開発公社とはラテンアメリカの国際開発機関で、出資国より高い格付を誇ります。
アンデス開発公社とは
アンデス開発公社とは、中南米とカリブ海諸国の経済社会開発と地域統合の促進を目的とする国際開発機関です。
本来の名前はスペイン語で「Corporación Andina de Fomento」といい、CAFと略されます。
アンデス開発公社の本部は、ベネズエラの首都カラカスにあります。
出資国
アンデス開発公社は、中南米諸国を中心とする加盟国の出資により構成されています。アンデス開発公社の出資国は、次の19か国です。
分類 | 出資国 |
---|---|
正規加盟国 | アルゼンチン ボリビア ブラジル コロンビア エクアドル パナマ パラグアイ ペルー トリニダードトバゴ ウルグアイ ベネズエラ |
協賛加盟国 | バルバドス チリ コスタリカ ドミニカ共和国 ジャマイカ メキシコ ポルトガル スペイン |
格付け
アンデス開発公社は、次の格付機関から格付を付されています。
格付機関 | 格付 |
---|---|
JCR | AA |
S&P | A+ |
ムーディーズ | Aa3 |
いずれの格付機関においても独立国家と遜色なく、むしろ出資国より高い格付を与えられています。
格付け | ソブリン・国際機関 |
---|---|
AA | アンデス開発公社 |
AA- | チリ共和国 |
A- | ペルー共和国 メキシコ共和国 |
BBB- | ブラジル連邦共和国 |
日本格付研究所による格付事由は次のとおりです
中南米諸国の経済社会開発と経済統合の促進を目的とする国際開発金融機関(CAF:ラテンアメリカの開発銀行と呼称される)。22 年 3 月に開催された株主総会において、70 億米ドルの払込資本の増資が全会一致で承認された。また、授権資本も 100 億米ドル増資され、総額 250 億米ドルに拡大する。さらに、6 月と 7 月にはチリ、エルサルバドル、ホンジュラスが正規加盟国になることが決定した。これらにより、自己資本の拡大と株主構成の分散化が進み、当行の貸出能力はより強化される見通しである。当行は、潤沢な流動性の維持など保守的な財務戦略を堅持するとともに、貸出先の分散化や資金調達先の多様化を図るなどリスクの抑制を図っている。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を抑えるために緊急のクレジットラインを拡大するなど、加盟国への迅速な支援を行っている。以上より、格付を 1 ノッチ引き上げ、見通しを安定的とした。
ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルーおよびベネズエラにより 1968 年に設立され、株主は他の中南米諸国やスペイン・ポルトガルを含めた計 20 ヵ国とアンデス地域の 13 民間金融機関に拡大し、事業地域も中南米全体に広がっている。他のどの債権者よりも優先的に返済を受ける事実上の「優先債権者」としての地位を享受しており、公的部門向け融資の元利払いは、これまで 180 日以上の遅延が発生したことは一度もない。アンデス地域の加盟国に対して、国際開発金融機関の中でも最大の資金提供を行っているほか、加盟国が経済的に困難な状態に陥った際にも支援を継続してきた実績を有する。
株主は、設立以来継続的に増資に応じている。08 年から 23 年までに総額 108 億米ドルの払込資本の増資を行う予定。一連の増資を通じ、従来アンデス 5 ヵ国に集中していた株主構成の分散が進んでいる。メキシコは、20 年 11 月に正規加盟国になることが正式に決定した。また、コスタリカとドミニカ共和国もそれぞれ21 年 2 月と 10 月に正規加盟国になるための署名を行った。加盟国の拡大と一連の増資によりさらなる資本の強化が見込まれる。融資残高は、22/12 期上半期末時点で、286 億米ドルにのぼる。増資により融資残高は今後大幅に拡大していく予定。06/12 期末に 92%を占めていたアンデス 5 ヵ国向けの融資残高は、同期末時点では 50%に低下した。依然として集中度は高いものの、加盟国の拡大を反映しアンデス域外への分散が進んでいる。資産の質は、22/12 期上半期末時点の不良債権比率が 0.37%と極めて良好な水準に維持されている。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を抑えるために 41 億米ドルの緊急クレジットラインを設定した。また、16 億米ドルの各国の開発銀行向け金融クレジットラインおよび医療システムと有用性を支援する合計22億米ドルの2つの流動性ファシリティを設定するなど、加盟国への迅速な支援を実施している。
設立協定を含む様々な規則に基づき、保守的な財務運営を行っている。出融資・保証残高の上限を株主資本の 4 倍以下に制限(22/12 期上半期末時点では 2.2 倍)。債務残高の上限も株主資本の 3.5 倍以下に制限している(同 2.3 倍)。流動性についての内部規則は、少なくとも向こう 12 ヵ月の必要純資金額を維持するとしており、同期末時点でその 1.6 倍程度の流動性を有するなど、資金調達環境の悪化や特定の加盟国による返済の延滞に直面しても、相応の耐性を維持している。また、他の国際開発金融機関と同様に収益の拡大を優先していないものの、継続的に黒字を計上している。
出典:News Release(2022)株式会社日本格付研究所
格付について詳しくは、次の記事をご覧ください。
リスクウェイト
アンデス開発公社を含む国際開発金融機関のリスクウェイトは次のとおりです。
リスクウェイト | 国際開発金融機関 |
---|---|
0% | 国際復興開発銀行 (IBRD) 国際金融公社 (IFC) 国際開発協会 (IDA) 欧州投資銀行 (EIB) イスラム開発銀行 (IDB) アフリカ開発銀行 (AfDB) 欧州復興開発銀行 (EBRD) アジアインフラ投資銀行 (AIIB) カリブ開発銀行 (CDB) 北欧投資銀行 (NIB) |
20% | アンデス開発公社 (CAF) |
30% | 中米経済統合銀行 (CABEI) 黒海貿易開発銀行 (BSTBD) |
50% | 東アフリカ開発銀行 (EADB) 国際農業開発基金 (IFAD) アフリカ経済開発アラブ銀行 (BADEA) |
出典:Multilateral Development Banks: Governance and Finance
有価証券報告書
アンデス開発公社は日本でも債券を発行しているため、金融庁に有価証券報告書を提出しています。
有価証券報告書等は金融庁のEDINETから参照できます。
アンデス開発公社のEDINETコードは「E06053」です。
社債
アンデス開発公社は過去に次の社債を発行しています。
銘柄 | 発行日 | 期間 | 利率 |
---|---|---|---|
第17回アンデス開発公社円貨債券(2021) | 2021年2月26日 | 5年 | 0.35% |
第14回アンデス開発公社円貨債券(2020) | 2020年7月30日 | 5年 | 0.77% |
アンデス開発公社2031年6月16日満期円建債券
アンデス開発公社2031年6月16日満期円建債券の概要は次のとおりです。
期間 | 10年 |
利率 | 年0.30%(税引前) |
発行日 | 2021年6月14日 |
利払日 | 毎年6月16日と12月16日(年2回) |
償還日 | 2031年6月16日 |
発行価格 | 額面金額の100% |
申込単位 | 100万円単位 |
格付 | A+(フィッチ)取得予定 |
発行額 | 未定 |
募集期間 | 2021年6月7日~2021年6月11日 |
アンデス開発公社2031年6月16日満期円建債券は、アンデス開発公社の米ドル・ミディアム・ターム・ノート・プログラムに基づいて発行されます。
ミディアム・ターム・ノート・プログラムとは、あらかじめ設定しておいた発行総額の枠内であれば、回数などの制限なく随時発行できる中期の債券です。
アンデス開発公社は、230億米ドルのミディアム・ターム・ノート・プログラムを設定しています。
格付け
アンデス開発公社2031年6月16日満期円建債券は、次の格付機関から格付を取得する予定です。
格付機関 | 格付 |
---|---|
フィッチ | A+ |
格付には個別債券自体に対する格付と、発行体(債券の発行元)に対する格付があります。ただし、特別の事情がないかぎり、両者は一致します。
リスク
アンデス開発公社2031年6月16日満期円建債券には次のリスクがあります。
- 価格変動リスク
- 信用リスク
アンデス開発公社2031年6月16日満期円建債券は、海外の発行体が日本国内市場向けに日本円建で発行する、いわゆる「サムライ債」です。円建で発行される債券のため、為替リスクはありません。
分類 | 発行体 | 発行市場 | 通貨 |
---|---|---|---|
サムライ債 | 外国 | 国内 | 円 |
ショーグン債 | 外国 | 国内 | 外貨 |
ユーロ円債 | 国内外 | 外国 | 円 |
ヤンキー債 | 米国以外 | 米国 | 米ドル |
パンダ債 | 中国以外 | 中国 | 人民元 |
価格変動リスク
アンデス開発公社2031年6月16日満期円建債券の価格は、市場金利の変化などによって上下します。償還前に売却する場合は、投資元本を割り込むことがあります。
信用リスク
アンデス開発公社の経営・財務状況の変化および格付などの外部評価の変化によって、投資元本を割り込むことがあります。
販売会社
次の金融機関でアンデス開発公社2031年6月16日満期円建債券を販売しています。
金融機関 | 引受金額 |
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第四北越証券 | 未定 |
ちばぎん証券 | 未定 |
東海東京証券 | 未定 |
とうほう証券 | 未定 |
南都まほろば証券 | 未定 |
ひろぎん証券 | 未定 |
北洋証券 | 未定 |
バークレイズ証券 | 未定 |
ちばぎん証券
ちばぎん証券は、ちばぎんグループの証券会社です。
本店所在地 | 千葉県千葉市中央区中央2-5-1 |
資本金 | 43億7,433万750円 |
創業 | 1883年(明治16年)6月 |
国内営業拠点 | 20店舗 |
iDeCo | × |
第四北越証券
第四北越証券(だいしほくえつしょうけん)は、新潟県を営業拠点とする証券会社です。本支店はすべて新潟県内にあります。
本店所在地 | 新潟県長岡市城内町3-8-26 |
国内営業拠点 | 15店舗 |
iDeCo | × |
とうほう証券
とうほう証券は福島県を営業拠点とする証券会社で、東邦銀行の完全子会社です。
本店所在地 | 福島県福島市大町3-25 |
資本金 | 30億円 |
設立日 | 平成27年8月28日 |
国内営業拠点 | 5店舗 |
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南都まほろば証券
南都まほろば証券は南都銀行グループの証券会社で、奈良県を営業拠点としています。
本店所在地 | 奈良県奈良市西大寺東町2-1-56 |
資本金 | 30億円 |
設立日 | 昭和19年11月25日 |
国内営業拠点 | 4店舗 |
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ひろぎん証券
ひろぎん証券は、ひろぎんホールディングス傘下の証券会社です。広島県、山口県、岡山県および東京都を営業拠点としています。
本店所在地 | 広島県広島市中区紙屋町1-3-8 |
資本金 | 50億円 |
設立日 | 2008年1月1日 |
国内営業拠点 | 25店舗 |
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北洋証券
北洋証券は北海道を営業拠点とする証券会社です。
本店所在地 | 北海道札幌市中央区北1-3-3 |
資本金 | 30億円 |
設立日 | 昭和11年4月1日 |
国内営業拠点 | 9店舗 |
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個人向け社債について詳しくは、次の記事をご覧ください。
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