FP2級(ファイナンシャル・プランニング技能検定2級)とは、顧客の資産に応じた貯蓄・投資等のプランの立案・相談に必要な技能の程度を検定する資格試験です。
FP2級は国家資格
2級ファイナンシャル・プランニング技能士は、国家資格である技能検定制度のひとつです。
技能検定制度とは、働くうえで身につける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度です。技能検定制度には130職種の試験があり、試験に合格すると合格証書が交付され、「技能士」と名乗ることができます。
ファイナンシャル・プランニング技能士は1級から3級までの3段階に分かれ、保険・年金・税金・金融商品・不動産・贈与・相続・事業承継など多岐にわたるファイナンシャル・リテラシーが問われます。
ファイナンシャル・プランニング技能士は名称独占資格であり、有資格者以外はその名称を名乗ることを認められていません。
受験資格
ファイナンシャル・プランニング技能検定2級には、次に示す受験資格があります。
- FP3級技能検定の合格者
- FP業務に従事し2年以上の実務経験を有する者
- 日本FP協会が実施するAFP認定研修を修了した者
- 厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格者
上記のうちいずれかに該当すれば、ファイナンシャル・プランニング技能検定2級を受験できます。
ファイナンシャル・プランニング技能検定3級の合格者は、受験申請の際に合格番号を入力または記入します。
合格率
ファイナンシャル・プランニング技能検定2級学科試験の合格率は次のとおりです。
試験実施 | きんざい | FP協会 |
---|---|---|
2021年9月 | 25.46% | 55.56% |
2021年5月 | 33.82% | 55.61% |
2021年1月 | 23.41% | 44.02% |
2020年9月 | 33.10% | 49.19% |
2020年5月 | 中止 | 中止 |
2020年1月 | 28.81% | 41.86% |
2019年9月 | 20.97% | 43.42% |
学科試験の内容は、きんざいと日本FP協会で共通です。同一の試験内容にも関わらず、それぞれ学科試験の合格率が異なるのは、受験者層の違いと考えられます。
ファイナンシャル・プランニング技能検定2級実技試験の合格率は次のとおりです。
試験実施 | きんざい | FP協会 |
---|---|---|
2021年9月 | 42.48% | 60.26% |
2021年5月 | 44.76% | 66.67% |
2021年1月 | 45.58% | 71.01% |
2020年9月 | 48.09% | 57.37% |
2020年5月 | 中止 | 中止 |
2020年1月 | 38.45% | 62.61% |
2019年9月 | 39.00% | 62.63% |
実技試験の内容は、きんざいと日本FP協会で異なります。きんざいの合格率よりも日本FP協会の合格率の方が高いですが、前述の通り受験者層が異なるので、きんざいの方が難しいとは一概には言えません。むしろ、学科試験ほど合格率の開きが無いことを考えると、きんざいの方が易しいかもしれません。
一般社団法人金融財政事情研究会 (2021) 試験結果
日本FP協会 (2021) FP技能士の取得者数及び試験結果データ
過去問
ファイナンシャル・プランニング技能検定2級(FP2級)の過去問は、ウェブ上で無料公開されています。
過去問は無料で手に入るので、問題集を買う必要はありません。テキストだけで十分です。
実技試験の出題傾向
きんざいの実技試験(資産相談業務)は、出題傾向がはっきりしています。次の問題が頻出します。
- 所得税額の計算
- 老齢厚生年金額の計算
- 遺族厚生年金額の計算
- ROE、PER、PBR、配当利回りの計算
- 建蔽率と容積率の計算
- 相続税額の計算
「ROE、PER、PBR、配当利回りの計算」、「建蔽率と容積率の計算」および「相続税額の計算」は毎回必ず出題されます。「所得税額の計算」、「老齢厚生年金額の計算」および「遺族厚生年金額の計算」は、このうちいずれかが毎回必ず出題されます。
日程
2021年度1月のファイナンシャル・プランニング技能検定2級は、次の試験日程で実施されます。
- 2021.10.1受験申請書請求開始
- 2021.11.9受験申請受付開始
- 2021.11.22受験申請書請求終了
- 2021.11.30受験申請受付終了
- 2021.1.5受験票発送
- 2022.1.23試験
- 2021.3.4合格発表
きんざい、日本FP協会ともに試験日程は同じです。
受験申し込み
ファイナンシャル・プランニング技能検定2級の受験申し込みは、きんざい、または日本FP協会で行います。どちらもインターネットから申し込みできます。
難易度
ファイナンシャル・プランニング技能検定2級の試験範囲は、ファイナンシャル・プランニング技能検定3級と同じです。ただし、より細かく正確な知識が必要となります。
きんざいの実技試験(資産相談業務)は出題傾向がはっきりしているため、学科試験より簡単です。実際に、学科試験よりも実技試験の方が合格率が高くなっています。
勉強時間
ファイナンシャル・プランニング技能検定3級の合格者であれば、3~6か月の学習期間で合格できます。
テキスト
ファイナンシャル・プランニング技能検定2級を勉強するためのテキストは「最短合格2級FP技能士」がおすすめです。
指定試験期間である一般社団法人金融財政事情研究会の関連会社である株式会社きんざいが出版、きんざいファイナンシャル・プランナーズ・センターが編著しているので、信頼のおけるテキストです。
「最短合格 2級 FP技能士」には過去9回分の試験出題傾向の分析表が掲載されていて、どの項目を重点的に学習すればよいのかもわかります。ちなみに、次の項目は過去9回の学科試験で7回以上出題されています。
- ファイナンシャル・プランニングと関連法規
- ライフプランニングの手法、プロセス
- 公的医療保険
- 雇用保険
- 国民年金
- 厚生年金保険
- その他の年金制度
- 生命保険商品と特約
- 法人における生命保険の経理処理
- 損害保険商品
- 医療保険と特約
- 投資信託の仕組みと特徴
- 株式投資に関する評価指標
- ポートフォリオ理論
- 金融商品等の課税関係
- 所得税の基本的事項
- 各種所得金額の計算
- 各種所得控除
- 法人税の損金
- 消費税の仕組み
- 会社、役員間及び会社間の税務
- 不動産の賃貸契約に関する借地法、借家法、借地借家法
- 都市計画法
- 建築基準法
- 区分所有法
- 不動産有効活用の実務・手法
- 贈与税の課税財産・非課税財産
- 相続分
- 相続税の課税財産・非課税財産・債務控除
上記の項目は出題頻度が高いので、重点的に学習することをおすすめします。これらを完全に解けるようにしておけば、ほぼ合格ラインに達します。
テキストの先頭から順番で均等に学習を進めるのは効率が悪いので、おすすめしません。上記重要分野をまず学習して、点数を稼げる得点源にしてから他の分野を学習するのが効率的です。
過去問を解けば分かりますが、市販テキストには載っていない問題が出題されることがあります。この手の問題は捨てても構いません。満点を目指す必要はなく、合格基準に達すればよいのです。
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