資産運用を自動でおまかせできるロボアドバイザーという便利なサービスがあります。しかし、ロボアドバイザーに明確な定義はなく、各社が自称しているだけです。この記事では、それぞれの違いを比較します。
ロボアドバイザーとは
ロボアドバイザーに厳密な定義はありませんが、おもに次の流れで金融資産を運用します。
- 資産配分の決定
- 各資産クラスに対応する投資対象銘柄の選定と購入
- ポートフォリオのモニタリングとリバランス
本来、これらは投資家が自分で行うことですが、ロボアドバイザーは自動で行ってくれます。
資産配分(アセット・アロケーション)を決定するにあたって、投資家の属性を知る必要があります。そこで、ロボアドバイザーはいくつかの質問を投資家に投げかけます。
ロボアドバイザーの診断
ロボアドバイザーでは、いくつかの質問に答えることでリスク許容度を診断します。それぞれのロボアドバイザーは、次の質問を尋ねてきます。
質問項目 | FOLIO | THEO | WealthNavi |
---|---|---|---|
年齢 | 〇 | 〇 | 〇 |
年収 | 〇 | 〇 | 〇 |
金融資産 | 〇 | 〇 | 〇 |
毎月の貯金額 | × | 〇 | × |
ロボアドバイザーの運用金額 | × | 〇 | × |
資産運用の目的 | × | × | 〇 |
株価が下落したときの対応 | × | × | 〇 |
フォリオは年齢、年収および金融資産でリスク許容度を判断します。投資家の意向が反映されない半面、客観的なリスク許容度が診断されます。
質問項目は多いですが、テオも似たような診断がされます。
ウェルスナビは資産運用の目的と株価が下落したときの対応も考慮にいれるので、投資家の意向が反映されやすいロボアドバイザーとなっています。人間の感情を理解してくれるロボといったところでしょうか。
質問事項に対する投資家の回答から、ロボアドバイザーがリスク許容度を診断します。
フォリオとウェルスナビは、リスク許容度を5段階で診断します。テオは何段階に分かれているのか公表していません。
ロボアドバイザー | リスク許容度 |
---|---|
FOLIO | 5段階 |
THEO | 不明 |
WealthNavi | 5段階 |
資産クラス
ロボアドバイザーは、許容リスクに応じて各資産クラスへの配分を変えています。対象とする資産クラスは、ロボアドバイザーによって異なります。
資産クラス | FOLIO | THEO | WealthNavi | |
---|---|---|---|---|
株式 | 米国株 | 〇 | 〇 | 〇 |
先進国株(米国除く) | 〇 | 〇 | 〇 | |
新興国株 | 〇 | 〇 | 〇 | |
債券 | 米国債 | 〇 | 〇 | 〇 |
先進国債 | × | 〇 | × | |
新興国債 | 〇 | 〇 | 〇 | |
投資適格債券 | × | 〇 | 〇 | |
ハイイールド債 | 〇 | 〇 | × | |
物価連動債 | × | 〇 | 〇 | |
コモディティ | 総合インデックス | × | 〇 | × |
金 | 〇 | 〇 | 〇 | |
銀 | × | 〇 | × | |
不動産 | 〇 | 〇 | 〇 |
アセットクラスに1番幅広く対応しているロボアドバイザーはテオです。ただし、アセットクラスは多ければ多いほどよいわけではありません。マイナーなアセットクラスへの投資は、コスト増の要因にもなるからです。
ウェルスナビでは、コモディティ全体よりも金だけの方が株式との分散投資効果が高い(相関が低い)ことなどから、金だけを投資対象としています。
最低投資額
ロボアドバイザーによって最低投資金額が異なります。
ロボアドバイザー | 最低投資額 |
---|---|
FOLIO | 10万円 |
THEO | 1万円 |
WealthNavi | 10万円(自動積立は1万円) |
テオの最低投資額が1番小さく、1万円から始めることができます。
ウェルスナビも自動積立を利用すれば、1万円から始めることができます。
手数料
各ロボアドバイザーともに、預かり資産の金額に応じて手数料がかかる仕組みです。手数料は横並びで一緒になっています。
条件 | FOLIO | THEO | WealthNavi |
---|---|---|---|
預かり資産3,000万円まで | 年率1.0%(税別) | ||
3,000万円を超える部分 | 年率0.5%(税別) |
WealthNaviの長期割
ウェルスナビには「長期割」があり、ロボアドバイザーを続けた期間と運用金額に応じて、6か月ごとに手数料の割引が拡大されていきます。
毎月1日に挿入金額から総出金額を引いた金額(長期割判定額)が50万円以上あると長期割期間が開始され、6か月間出金をしなければ翌月から手数料が割引になります。
長期割判定額 | 手数料の割引幅 |
---|---|
50万円以上~200万円未満 | 年0.01% |
200万円以上 | 年0.02% |
年率1.0%から徐々に割引されていき、最終的に0.90%まで手数料が下がります。
THEO Color Palette
テオ・カラーパレットとは、ロボアドバイザーに毎月積立をしていると、手数料が最大年0.65%(税別)まで引き下がる割引制度です。
カラー | 手数料 | カラー基準額 |
---|---|---|
ホワイト | 1.00% | なし |
ブルー | 0.90% | 1万円以上 50万円未満 |
グリーン | 0.80% | 50万円以上 100万円未満 |
イエロー | 0.70% | 100万円以上 1,000万円未満 |
レッド | 0.65% | 1,000万円以上 |
1年案を4つの期間(1月~3月、4月~6月、7月~9月、10月~12月)に分けて、それぞれの対象期間内の利用状況をもとにカラーが決定されます。
カラー基準額とは、運用開始から対象期間内の各月末までの入出金総額の平均です。
テオ・カラーパレットは割引になる条件が緩く、WealthNaviの長期割より簡単に割引条件を達成できます。3つのロボアドバイザーの中で、手数料が1番安くなるでしょう。
入金
ロボアドバイザーの口座に入金するには、リアルタイム入金と銀行振込の2通りの方法があります。
リアルタイム入金
各ロボアドバイザーともに、リアルタイム入金またはクイック入金と呼ばれる入金方法が用意されています。リアルタイム入金では、銀行口座からの入金が即時に口座へ反映され、入金手数料は無料となっています。
ロボアドバイザー | 入金手数料 |
---|---|
FOLIO | 無料 |
THEO | 無料 |
WealthNavi | 無料 |
リアルタイム入金に対応している銀行は、次のとおりです。
銀行 | FOLIO | THEO | WealthNavi |
---|---|---|---|
三菱UFJ銀行 | 〇 | 〇 | 〇 |
三井住友銀行 | 〇 | 〇 | 〇 |
みずほ銀行 | 〇 | 〇 | 〇 |
イオン銀行 | 〇 | × | 〇 |
住信SBIネット銀行 | × | 〇 | 〇 |
じぶん銀行 | × | 〇 | 〇 |
PayPay銀行 | 〇 | × | × |
ソニー銀行 | × | × | 〇 |
銀行振込
各ロボアドバイザーともに、任意の銀行から振込で入金することができます。この場合は、振込手数料は顧客が負担することになります。
出金
各ロボアドバイザーともに、出金手数料は無料です。
ロボアドバイザー | 出金手数料 |
---|---|
FOLIO | 無料 |
THEO | 無料 |
WealthNavi | 無料 |
総合評価
各ロボアドバイザーの総合評価をまとめてみました。
FOLIO
フォリオはウェルスナビと商品性が似ています。
長期割制度があるウェルスナビと比較して、手数料と最低投資金額が高いように感じます。
ただ、フォリオにはパッシブ(インデックス)運用のロボアドバイザーだけでなく、自分で投資するテーマを選べる「テーマ投資」というアクティブ運用の商品もあります。パッシブ運用だけではものたりなく、アクティブ運用も手がけてみたい方にはよいでしょう。
評価項目 | FOLIO |
---|---|
ロボアドバイザーの診断 | |
資産クラス | |
最低投資金額 | |
手数料 | |
入出金 |
THEO
テオは最低投資金額が1万円と安く、気軽にロボアドバイザーを始めることができます。フォリオやウェルスナビと比較して手数料も安く、おすすめのロボアドバイザーです。
評価項目 | 評価 |
---|---|
ロボアドバイザーの診断 | |
資産クラス | |
最低投資金額 | |
手数料 | |
入出金 |
テオの詳細は下記の公式サイトでご確認ください。
WealthNavi
ウェルスナビはロボアドバイザーの診断で投資家の意向が反映されますので、納得のいくポートフォリオを構築できます。リスクを取って積極的に運用したい方やリスクは極力避けたいという要望がある方には、ウェルスナビが最適です。
評価項目 | 評価 |
---|---|
ロボアドバイザーの診断 | |
資産クラス | |
最低投資金額 | |
手数料 | |
入出金 |
各ロボアドバイザーについて詳しくは次の記事で紹介してますので、こちらもご覧ください。
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