東北電力株式会社第552回社債(一般担保付)が2022年12月13日に発行

伊達政宗

東北電力が個人向け社債「東北電力株式会社第552回社債(一般担保付)」を2022年12月13日に発行します。電力債は担保が付いているうえ、10万円から買えるなど、社債入門者におすすめの債券です。

概要

東北電力が発行する個人向け社債の概要は次のとおりです。

社債概要
名称東北電力株式会社 第552回社債(一般担保付)
期間6年
利率年率0.864%(税引前)
発行日2022年12月13日
利払日毎年6月25日および12月25日
償還日2028年12月25日
発行価格額面100円につき100円
申込単位100万円単位
募集期間2022年12月7日~2022年12月12日
格付A+(R&I)、AA(JCR)
発行額270億円

本社債で集めた資金は、設備資金および社債償還資金に充当されます。

発行体

東北電力株式会社第552回社債(一般担保付)の発行体は東北電力株式会社です。東北電力株式会社は青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県の東北6県と新潟県を事業地域とする電力会社です。

会社概要
項目内容
会社名東北電力株式会社
本店所在地仙台市青葉区本町1-7-1
設立昭和26年5月1日
資本金2,514億円
売上高20,255億円
総資産42,586億円
上場市場東証1部
証券コード9506

東北電力株式会社の発行体(債券の発行元)格付は、電力会社の中でも高い方に位置します。

R&Iによる電力会社の発行体格付
格付電力会社
AA沖縄電力
A+東北電力
北陸電力
中部電力
関西電力
中国電力
四国電力
A北海道電力
九州電力
A-東京電力パワーグリッド
東京電力ホールディングス
東京電力リニューアブルパワー

日本格付研究所(JCR)による長期発行体格付においても、東北電力株式会社は高い格付を誇ります。

JCRによる電力会社の長期発行体格付
格付電力会社
AA東北電力
北陸電力
中部電力
中国電力
四国電力
AA-北海道電力
関西電力
九州電力
A-東京電力パワーグリッド
東京電力ホールディングス
東京電力リニューアブルパワー

一般担保付

一般的な社債は担保が付いていません。しかし、電力会社が発行する電力債には担保が付いています。東北電力株式会社第516回社債にも一般担保が付いています。一般担保付社債とは、他の債権者よりも優先して弁済が受けられる権利が付いた社債で、電気事業法第27条の30に基づいて発行されています。

利率

東北電力株式会社第552回社債(一般担保付)の利率は、年0.864%(税引前)です。毎年6月25日と12月25日の年2回に分けて利払いが行われます。初回の利払日は2023年6月25日となります。

申込単位

一般的な社債は100万円単位で購入できます。個人にとっては、まとまった資金が必要となります。しかし、電力会社が発行する電力債は10万円単位で購入できるものがほとんどです。東北電力株式会社第552回社債(一般担保付)も10万円単位で買えるので、個人で買いやすい社債となっています。

格付け

ランキング

東北電力株式会社第552回社債(一般担保付)は、格付投資情報センター(R&I)および日本格付研究所(JCR)から長期個別債務格付を取得しています。

長期個別債務格付
格付会社格付
R&IA+
JCRAA
一般的に格付け「BBB」以上の債券が投資適格とされています。

R&Iの格付とJCRの格付が異なりますが、これはJCRが甘めの格付けを行う傾向があるからです。どちらかというと、R&Iの格付けを参考にした方がよいでしょう。

格付投資情報センター

東北電力株式会社第552回社債(一般担保付)は格付投資情報センター(R&I)から「A+」の長期個別債務格付を取得しています。R&Iによる格付事由は次のとおりです。

2021年2月に続き、2022年3月にも福島県沖地震に見舞われ主力電源の一部が再び被災した。ロシアの軍事侵攻後の資源高と重なり、計画外停止した火力電源分の代替調達費用が拡大。2021年度に1000億円超の最終赤字を計上したのに続き、2022年度の赤字はさらに大きく膨らむ見通しだ。電源停止の影響に加え、燃調制度の上限超過による価格転嫁不足も拡大し、財務構成はもう一段の悪化が見込まれる。ただ、2022年7月に公表した高圧以上の料金値上げや低圧自由料金の燃調上限撤廃などの採算改善策は、2023年度以降、より強く収支に効いてくる。財務構成の悪化要因には燃調期ずれ影響が相当程度、含まれている。女川原発2号機は適合性審査の合格や地元理解の確保、工事計画認可の取得などを経て、安全対策工事は2023 年11月の完了を目指す。再稼働プロセスが比較的順調である点は評価できる。2022年度はハイブリッド社債(資本性50)の発行を予定しており、財務基盤の下支えが見込まれる。なおサハリン 2 への依存度は 1 割程度だが、停止電源を抱える中で供給が途絶した場合は悪影響が強まる恐れがある。その動向とともに、被災した電源の復旧や値上げ浸透の進捗などを見守っていく。

日本格付研究所

東北電力株式会社第552回社債(一般担保付)は株式会社日本格付研究所(JCR)から「AA」の長期個別債務格付を取得しています。JCRによる格付事由は次のとおりです。

東北6県と新潟県を主な供給区域とする。22年12月1日に高効率の上越火力 1 号機が営業運転を開始したうえ、女川原発 2 号機の再稼働が視野に入りつつある。燃料価格の高騰や22年3月の福島県沖地震の影響による収益低下を背景に財務構成が悪化しているが、22年9月に実施した資本性のある資金調達は財務基盤を一定程度下支えする効果がある。今後については、料金メニューの見直しや女川原発 2 号機の再稼働によって、業績回復を軌道に乗せることと共に、悪化した財務基盤の改善を図ることが課題となる。

東北電力債の購入方法

次の証券会社で東北電力株式会社第552回社債(一般担保付)を販売しています。

販売会社
販売会社引受金額
野村證券270億円
270億円

各証券会社ごとに社債の割り当て数が異なるので、入手が困難な証券会社もあります。株式は購入に手数料がかかり、その手数料は証券会社によって異なりますが、社債の購入に手数料はかかりませんので、どこの証券会社で買っても同じです。

発行実績

東北電力株式会社は、過去にも次の個人向け社債を発行しています。

東北電力が発行した個人向け社債
銘柄発行日利率期間
第516回社債2019年12月25日0.14%3年
第511回社債2019年6月25日0.14%3年
第506回社債2018年12月21日0.14%3年
第503回社債2018年6月22日0.14%3年
第495回社債2017年6月23日0.14%3年
第489回社債2016年12月22日0.14%3年
第474回社債2014年6月25日0.40%5年
第470回社債2013年6月13日1.55%10年
第463回社債2012年6月25日0.72%5年

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参考文献

東北電力株式会社 (2022) 第552回社債の発行について
東北電力株式会社 (2022) 社債情報
株式会社格付投資情報センター (2022) NEWS RLEASE
株式会社日本格付研究所 (2022) News Release

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