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VIX(恐怖指数)とは? VIX指数の先物、ETFおよび投資信託

Stock chart

VIX指数とは、市場参加者が予想するS&P500指数の将来のボラティリティをシカゴ・オプション取引所が数値化したもので、恐怖指数とも呼ばれます。

VIX指数(恐怖指数)とは

VIXとはVolatility Indexの略称で、米国CBOE先物取引所がS&P 500指数のオプション取引の値動きを元に算出・公表しています。株式市場の将来に対する投資家心理を示すものとして利用され、日本では恐怖指数とも呼ばれています。ボラティリティとは変動幅の大きさのことです。なお、VIXは米国の指数であるため、日本固有の事情にはあまり反応しません。VIXはシカゴ・オプション取引所に先物として上場されているので、VIX先物を売買することができます。

株式相場の先行きに不確実性が高まるとVIXは上昇します。リーマン・ショックや新型コロナウィルス感染症拡大のときに、VIXは大きく上昇しました。

相場が穏やかになったり上昇すると、VIXは横ばいまたは下落します。いつか来るであろう恐慌に備えてVIXを買い持ちしておく戦略はうまくいきません。なぜなら、平常時にVIXは緩やかに下降する性質があるからです。VIXを買い、その数年後に相場の大暴落が来たとしても、その数年間にVIXはだいぶ下がっています。その後VIXが急上昇しても、買値までは上がらないことも多々あります。

コンタンゴ

期近の先物価格よりも期先の先物価格が高くなっていく状態を、順鞘(コンタンゴ)といいます。

順鞘(コンタンゴ)と逆鞘(バックワーデーション)

順鞘(コンタンゴ)の場合、次限月以降の限月に乗換え(ロールオーバー)すると、損失が発生します。そのため、VIX先物が順鞘の状態にある場合、S&P 500 VIX短期先物指数は中長期的に減価していきます。VIX指数が変動を繰り返して元の水準に戻ったとしても、S&P 500 VIX短期先物指数は元の水準には戻りません。

指数

VIXの指数には以下に示すものがあります。

  • S&P 500 VIX短期先物指数

S&P 500 VIX短期先物指数

S&P 500 VIX短期先物指数とは、CBOE先物取引所に上場されているVIX先物指数の第1限月と第2限月をロールオーバー(限月乗換え)した場合のリターンを指数化したものです。具体的には、買い建てていた第1限月のVIX先物指数を売却して、第2限月のVIX先物指数を買い付ける取引を日次で行います。そのため、S&P 500 VIX短期先物指数はVIXと同じ動きをするわけではありません。

ETF

VIX指数(恐怖指数)を対象とした上場投資信託(ETF)には、以下に示すものがあります。

  • 国際のETF VIX短期先物指数

国際のETF VIX短期先物指数

「国際のETF VIX短期先物指数」とは、S&P 500 VIX短期先物指数(円換算)に連動する上場投資信託(ETF)です。

銘柄概要
銘柄国際のETF VIX短期先物指数
証券コード1552
市場東証1部
売買単位1口単位
対象指標S&P 500 VIX短期先物指数(円換算)
管理会社三菱UFJ国際投信
制度信用取引貸借銘柄
信託報酬年率0.396%
マーケットメイクなし

国際のETF VIX短期先物指数の組み入れ上位銘柄は次のとおりです。

組入上位銘柄
銘柄比率
CBOE VIX221261.2%
CBOE VIX230140.6%

※2022年11月30日現在

国際のETF VIX短期先物指数は、S&P 500 VIX短期先物指数だけでなく、米国債(アメリカ国債)にも投資します。先物取引は証拠金さえ用意すればレバレッジを効かせて、より大きな金額の取引ができます。そのため、必要な資金は少なくて済みます。あまった資金をただ遊ばせておくのはもったいないため、残りの資金は安全資産である米国国債に投資して、リターンをアップさせています。2022年11月30日現在における国際のETF VIX短期先物指数の資産構成は、次のようになっています。

国際のETF VIX短期先物指数の資産構成
資産比率
その他先物101.7%
現物債券57.4%

先物取引では証拠金より大きな金額を取引できるので、先物の比率は100%を超えることがあります。

国際のETF VIX短期先物指数が投資対象としているS&P 500 VIX短期先物指数と米国国債は、ともに米ドル建てであるため、為替変動リスクがあります。S&P 500 VIX短期先物指数の価格変動とは別に、円安になれば基準価額の上昇要因となり、円安になれば基準価額の下落要因となります。

ETFの中には流動性が低く、あまり活発に取引が行われていない銘柄もあります。国際のETF VIX短期先物指数は、マーケットメイカーが気配を提示して取引の流動性を提供するマーケットメイクの対象ではありませんが、十分な流動性があるETFです。普段でも数万口の取引があり、VIXが急上昇した日には普段の10倍くらいに取引が増えます。

国際のETF VIX短期先物指数は、東京証券取引所第1部に上場している上場投資信託(ETF)であるため、ほぼすべての証券会社で取引できます。1口単位で売買できるため、現在値がそのまま必要な資金となります。ただし、証券会社の売買手数料が別途必要になります。

国際のETF VIX短期先物指数は、制度信用取引の貸借銘柄となっています。また、一般信用取引もできます。平常時にVIXは低く、何かあると一気に急上昇します。VIXが長期間高止まりすることはあまりないので、VIXが急上昇したときに下落を狙って空売りを仕掛けるのも有効な戦略です。

国際のETF VIX短期先物指数の分配金支払い実績は以下のとおりです。

分配金
決算期決算日分配金
第12期2022年11月14日2円
第11期2021年11月14日0円
第10期2020年11月14日0円
第9期2019年11月14日0円
第8期2018年11月14日0円
第7期2017年11月14日0円
第6期2016年11月14日0円
第5期2015年11月14日0円
「国際のETF VIX短期先物指数」は繰上償還(上場廃止)となります。

投資信託

VIX指数(恐怖指数)を対象とした投資信託には、以下に示すものがあります。

  • 楽天ボラティリティ・ファンド

楽天ボラティリティ・ファンド

楽天ボラティリティ・ファンドでは、このVIXの性質を利用した戦略を採っています。

平常時にはVIX先物を売り持ちすることにより、VIXの下降による収益を得ます。

いざ市場に異変が起こると買い持ちに切り替えることにより、相場暴落時には株式等のリスク資産に対するヘッジ効果が得られます。

実際に2020年3月の新型コロナウィルス感染症拡大で相場の先行きに不確実性が高まったとき、楽天ボラティリティ・ファンドの基準価額が大きく上昇しました。

楽天ボラティリティ・ファンド

楽天ボラティリティ・ファンドは2014年4月23日に設定されました。それ以来リーマン・ショック級の暴落が起きていなかったのですが、今回の新型コロナウィルス感染症拡大により、買い持ち切り替えに成功しました。

楽天ボラティリティ・ファンドには毎月分配型と資産成長型の2種類あり、それぞれ決算頻度が異なります。

ファンド概要
項目毎月分配型資産成長型
愛称楽天ボルティ
委託会社楽天投信投資顧問
投資対象資産VIX先物
投資対象地域グローバル(日本を含む)
投資形態ファンド・オブ・ファンズ
為替ヘッジあり(一部ヘッジ)
決算頻度年12回(毎月)年2回
購入時手数料なし
信託財産留保額0.5%
信託報酬1.023%
成功報酬ハイ・ウォーターマーク超過額の11%
総経費率1.30%1.33%

楽天ボラティリティ・ファンドはファンド・オブ・ファンズの投資形態をとっています。直接VIX先物等を売買するのではなく、楽天ボラティリティ・ファンド(適格機関投資家専用)や上場投資信託(ETF)に投資しています。そのため、楽天ボラティリティ・ファンドが投資する投資信託にも年0.057%程度の信託報酬がかかります。

投資信託としては珍しく、楽天ボラティリティ・ファンドには成功報酬額があります。信託報酬に加えて、ハイ・ウォーターマーク方式を用いた成功報酬額を委託会社(楽天投信投資顧問)が徴収します。成功報酬額は毎営業日に当該営業日の基準価額が、その時点のハイウォーターマークを超えた場合に、その超過額に11%を乗じた額となります。

モーニングスター株式会社は独自の指標で投資信託を評価しています。モーニングスターは「楽天ボラティリティ・ファンド」を次のように評価しています。

モーニングスターによる評価
3年5年
レーティング1.02.0
リターンやや高いやや高い
標準偏差大きい大きい

楽天ボラティリティ・ファンドには毎月分配型と資産成長型の2種類あり、それぞれ決算頻度や販売会社が異なります。楽天ボラティリティ・ファンドは次の金融機関で販売しています。

販売会社
販売会社毎月分配型資産成長型
auカブコム証券
SBI証券
岡三オンライン証券
スルガ銀行×
PayPay銀行
楽天証券

毎月分配型

楽天ボラティリティ・ファンド(毎月分配型)は毎月12日(休業日の場合は翌営業日)に決算を行い、収益分配を行います。楽天投信投資顧問が基準価額や市況動向を勘案して、収益分配額を決定します。

楽天ボラティリティ・ファンド毎月分配型の分配金
決算期分配金
2022年11月30円
2022年10月30円
2022年9月30円
2022年8月30円
2022年7月30円
2022年6月30円
2022年5月30円
2022年4月50円
2022年3月50円
2022年2月50円
2022年1月80円

「毎月分配型」という名前や毎期の分配金が一定であることから分かるとおり、楽天ボラティリティ・ファンド(毎月分配型)は利益を分配するのではなく、ファンドの純資産(元本)を取り崩して分配金を支払うタイプの投資信託です。そのため、分配金を支払う度に投資信託の純資産が減っていきます。

資産成長型

楽天ボラティリティ・ファンド(資産成長型)は毎年4月12日と10月12日(休業日の場合は翌営業日)に決算を行い、収益分配を行います。

楽天ボラティリティ・ファンド資産成長型の分配金
決算期分配金
2022年10月0円
2022年4月0円
2021年10月0円
2021年4月0円
2020年10月0円

楽天ボラティリティ・ファンド(資産成長型)は年2回決算を行うのですが、楽天投信投資顧問はあえて分配金を出していません。投資信託の純資産を取り崩してまで分配金を支払わない方針です。

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参考文献

三菱UFJ国際投信 (2023) 国際のETF VIX短期先物指数
三菱UFJ国際投信 (2021) 「国際のETF VIX短期先物指数」の信託終了(繰上償還)および重大な約款変更に係る書面決議基準日設定ならびに監理銘柄(確認中)への指定のお知らせ
楽天投信投資顧問株式会社 (2022) 楽天ボラティリティ・ファンド(毎月分配型) / (資産成長型)

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