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信用取引の仕組み【レバレッジと空売り】

leverage

信用取引とは、資金や株式を借りて元手以上の売買を行う取引です。株価が下がったときに利益を得る空売りもできるので、現物株取引のリスクヘッジにも使えます。この記事では、信用取引の仕組みを紹介しています。

信用取引口座が必要

信用取引をするには、信用取引口座を開設する必要があります。証券会社に口座を開設するときに、まず総合口座を開設しますが、これとは別に信用取引口座を開設します。

信用取引口座の開設を申し込むと審査が行われます。審査に合格すると信用取引口座が開設されます。信用取引口座の審査は、金融資産や取引経験、年齢などによって判断されます。次のいずれかの条件に当てはまると信用取引口座の審査で不合格となり、信用取引口座が開設できないことがあります。

  • 株式取引経験なし
  • 金融資産100万円未満
  • 年齢80歳以上

通常は、信用取引口座開設の審査で電話がかかってくることはありません。合否のボーダーライン上の場合は、まれに電話で審査が行われることがあります。上記3つの条件すべてに当てはまらなければ、まず電話がかかってくることはないでしょう。

信用取引の仕組み

レバレッジ取引

現物株取引の場合、100万円の株式を購入するには100万円のお金が必要になります。

信用取引では、3分の1のお金で取引することができます。たとえば、100万円の株式を購入するのに必要なお金は、約33万円です。元手以上の売買を行うことを、レバレッジ取引といいます。

信用取引には、担保として保証金が必要になります。通常は、証券口座の預り金を保証金とします。証券会社によっては、次の資産も保証金とすることができます。

  • 現物株式
  • 投資信託

信用取引では、保証金の3倍の額まで取引することができます。

空売り

現物株取引では、まず株式を買ってから、その株式を売ることになります。信用取引では、まず株式を売ってから、その株式を買い戻すことができます。手元にない株式を売るので、空売りと呼ばれています。

空売りでは、株式を売ったときの株価より、株式を買い戻すときの株価が安い方が利益が出ます。つまり、株価下落局面で利益を上げることができる取引です。逆に株価上昇局面で空売りすると、損失が出ます。

PTSでも信用取引ができる

取引所外売買の一形態であるPTS(私設取引システム)においても、信用取引ができます。

制度信用取引と一般信用取引

信用取引には、「制度信用取引」と「一般信用取引」の2種類があります。信用取引の注文をするときに、どちらかを選択します。

制度信用取引 一般信用取引
対象銘柄 証券取引所が選定した銘柄 証券会社によって異なる
対象銘柄の数 多い 少ない
返済期限 6か月 証券会社によって異なる
買方金利(年率) 2.80% 証券会社によって異なる
貸株料(年率) 1.10% 証券会社によって異なる

制度信用取引

制度信用取引とは、逆日歩および弁済の期限などが取引所規則により定められている信用取引です。制度信用取引では、どの証券会社でも同じルールで取引することになります。

制度信用取引が行える銘柄は、一定の基準を満たした銘柄(制度信用銘柄)となります。

一般信用取引

一般信用取引とは、ルを証券会社で独自に定めたルールで取引を行う信用取引です。

対象銘柄や返済期限、手数料は証券会社により異なります。

貸株との併用

貸株とは、保有している株式を証券会社に貸し出すことで金利を受け取れるサービスです。

証券会社によっては、信用取引と貸株サービスを併用することができます。信用取引の代用有価証券として利用していない株式を貸し出して、金利収入を受け取ることができます。

信用取引口座と貸株口座を併用できる証券会社
証券会社 信用取引と貸株の併用
SBI証券
auカブコム証券
松井証券 ×
マネックス証券 ×
楽天証券

信用取引の手数料

信用取引では、始めに株式を買う買建と始めに株式を売る売建で、かかる手数料が異なります。

信用取引の手数料
手数料 買方 売方
取引手数料
買方金利 ×
貸株料 ×
逆日歩 受け取る 支払う
名義書換料 ×

取引手数料

信用取引で売買する際に、取引手数料がかかります。

信用取引の取引手数料は証券会社によって異なりますが、現物株式の売買手数料より信用取引の取引手数料の方が安くなっています。

信用取引の手数料は、次に示す2種類の手数料プランのうち、どちらかを選べる証券会社がほとんどです。

  • 1約定ごとの金額に応じて手数料が決まるプラン
  • 1日の合計約定金額に応じて手数料が決まるプラン

各証券会社の約定毎プランにおける信用取引手数料は次のとおりです。

信用取引の取引手数料
約定金額 10万円以下 10万円超
20万円以下
20万円超
50万円以下
50万円超
SBI証券 0円
楽天証券 0円
GMOクリック証券 97円 143円 187円 264円
auカブコム証券 99円 148円 198円 385円
マネックス証券 99円 148円 198円 385円

マネックス証券でETFおよびREITを信用取引する場合、取引手数料は無料です。

楽天証券にはさまざまなコースがありますが、ゼロコースを選べば国内株式の現物取引と信用取引の手数料が無料になります。

楽天証券

買方金利

信用取引では、株券の代金を金融商品取引業者(証券会社)から借りて株式を買うことができます。この取引を新規買建といいます。信用取引で株式を新規買建する場合、借りたお金に対して金利を支払う必要があります。これを買方金利といいます。

信用取引の買方金利
信用取引 買い金利(日歩)
制度信用取引 年2.80%(優遇金利2.28%)
一般信用取引 証券会社により異なる

信用取引の買方金利は、金利情勢や証券金融会社と証券会社との貸借金利の動向などによって決定されます。

貸株料

信用取引では、所有していない銘柄を売ることができます。この取引を新規売建といいます。信用取引で株式を新規売建する場合、金融商品取引業者(証券会社)から株式を借りて売ることになります。貸株料とは、証券会社から借りた株券にかかるレンタル料です。

信用取引の貸株料
信用取引 貸株料
制度信用取引 年1.10%
一般信用取引 証券会社により異なる

品貸料(逆日歩)

品貸料は、売方が買方に支払う費用です。逆日歩とも呼ばれます。

逆日歩は常に発生するわけではなく、市場において信用取引で貸借される株券が不足すると発生します。

逆日歩は、市場の状況に応じて証券金融会社が利率を決定します。

名義書換料

名義書換料とは、買い建玉が決算日(権利確定日)をまたいだ場合に発生する手数料です。

信用取引の名義書換料
種類 1売買単位あたりの名義書換料
一般株式 55円
上場投資信託(ETF)
指標連動証券(ETN)
5.5円

証券金融会社

証券金融会社とは、金融商品取引法に基づく資本金1億円以上で内閣総理大臣の免許を受けた証券金融専門の株式会社です。信用取引の決済に必要な金銭又は有価証券を金融商品取引業者に貸し付ける業務を行っています。

かつては複数の証券金融会社がありましたが、現在は日本証券金融株式会社(日証金)1社のみとなっています。

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