三菱UFJフィナンシャルグループが個人向け社債を2020年9月30日に発行します。この記事では、本社債の利率や購入方法などをご紹介します。
概要
三菱UFJフィナンシャル・グループが今回発行する個人向け社債は2種類あります。
- 株式会社三菱UFJフィナンシャルグループ第26回無担保社債(実質破綻時免除特約および劣後特約付)(サステナビリティボンド)
- 株式会社三菱UFJフィナンシャルグループ第27回期限前償還条項付無担保社債(実質破綻時免除特約および劣後特約付)(サステナビリティボンド)
三菱UFJフィナンシャル・グループが発行する社債の概要は次のとおりです。
三菱UFJフィナンシャル・グループ第26回無担保社債
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ第26回無担保社債 (実質破綻時免除特約および劣後特約付)(サステナビリティボンド) |
発行体 | 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ |
期間 | 約10年4か月 |
利率 | 年0.894%(税引前) |
発行日 | 2020年9月30日 |
利払日 | 毎年1月31日と7月31日(年2回) |
償還日 | 2031年1月31日 |
発行価格 | 額面100円につき100円 |
申込単位 | 100万円単位 |
格付 | A+(R&I)、A+(JCR)取得予定 |
発行総額 | 540億円 |
申込期間 | 2020年9月14日~2020年9月29日 |
三菱UFJフィナンシャル・グループ第27回期限前償還条項付無担保社債
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ第27回期限前償還条項付無担保社債 (実質破綻時免除特約および劣後特約付)(サステナビリティボンド) |
発行体 | 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ |
期間 | 約10年4か月 |
利率 | 当初約5年4か月:年0.58%(税引前) 以降5年:基準金利 + 0.67%(税引前) |
発行日 | 2020年9月30日 |
利払日 | 毎年1月31日と7月31日(年2回) |
償還日 | 2031年1月31日 |
発行価格 | 額面100円につき100円 |
申込単位 | 100万円単位 |
格付 | A+(R&I)、A+(JCR)取得予定 |
発行総額 | 960億円 |
申込期間 | 2020年9月14日~2020年9月29日 |
三菱UFJフィナンシャル・グループ
「株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ第26回無担保社債(実質破綻時免除特約および劣後特約付)(サステナビリティボンド)」と「株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ第27回期限前償還条項付無担保社債(実質破綻時免除特約および劣後特約付)(サステナビリティボンド)」の発行体(債券の発行元)は、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループです。
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループは、三菱UFJフィナンシャル・グループの金融持株会社です。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の傘下には、次のような企業があります。
- 三菱UFJ銀行
- 三菱UFJ信託銀行
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 三菱UFJニコス
- アコム
- 三菱UFJリース
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループは、過去に次の個人向け社債を発行した実績があります。
銘柄 | 期間 | 利率 |
---|---|---|
第21回 | 約10年4か月 | 当初5年4か月:0.29% 以降5年:基準金利 + 0.43% |
第20回 | 約10年4か月 | 0.452% |
金利
「株式会社三菱UFJフィナンシャルグループ第26回無担保社債
(実質破綻時免除特約および劣後特約付)(サステナビリティボンド)」の金利は、年0.894%(税引前)です。
「株式会社三菱UFJフィナンシャルグループ第27回期限前償還条項付無担保社債(実質破綻時免除特約および劣後特約付)(サステナビリティボンド)」の金利は、当初約5年4か月とそれ以降とで変わります。
時期 | 金利 |
---|---|
当初約5年4か月 | 0.58% |
以降5年 | 基準金利 + 0.67% |
基準金利は2026年1月31日の2銀行営業日前の午前10時(東京時間)にロイターに表示される5年物円スワップのオファー・レートおよびビッド・レートの算術平均値として計算される5年物円スワップのミッド・レートです。
特約
「株式会社三菱UFJフィナンシャルグループ第26回無担保社債(実質破綻時免除特約および劣後特約付)(サステナビリティボンド)」と「株式会社三菱UFJフィナンシャルグループ第27回期限前償還条項付無担保社債(実質破綻時免除特約および劣後特約付)(サステナビリティボンド)」には、劣後特約と実質破綻時免除特約という2つの特約が付いています。
劣後特約
「劣後特約」とは、元本と利息の支払いの優先順位が普通社債より低い債券に付けられる特約のことです。この特約が付いた債券を「劣後債」と言います。
劣後債は発行体が破綻した場合の弁済順位が普通社債に比べ劣りますが、一般的に普通社債より利回りが高くなります。
発行体が破綻した場合、普通社債でも投資したお金が返ってくる保障はありませんが、劣後債は普通社債よりお金が返ってくる可能性がさらに低くなります。
実質破綻時免除特約
実質破綻時免除特約とは、発行体が実質的に破綻した状態になったときに、発行体はその元利金や利息の支払い義務をすべて免除されるという特約のことをいいます。
期限前償還条項
「株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ第27回期限前償還条項付無担保社債(実質破綻時免除特約および劣後特約付)(サステナビリティボンド)」には、期限前償還条項が付いています。
あらかじめ金融庁長官の確認を受けたうえで、元本に経過利息を付けて2026年1月31日に期限前償還される場合があります。期限前に償還される場合は、1~2か月前に社債権者に通知されます。
期限前償還条項は株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの判断で実行できるので、実際に起こる可能性は高いです。
期限前償還条項とは別に、税務事由または資本事由が発生・継続している場合に期限前償還される場合があります。
税務事由とは、税制またはその解釈の変更などにより債権利息の損金算入が認められなくなり、合理的な措置を講じてもそれを回避できないと法律または税務の専門家より意見書として発行者が受領した場合です。
社債の利金が企業の経費と認められなくなった場合ですので、実際に税務事由が起こることは考えにくいです。
資本事由とは、債券の全部または一部が自己資本比率規制上、発行者のTier2資本として扱われない内容の法令などが公布・公表した場合、または金融庁その他監督当局と協議の結果、Tier2資本として扱われないこととなると発行者が判断した場合です。
銀行には自己資本比率規制があり、一定の条件のもとで社債で調達した資金も資本と認められています。銀行が社債を発行する理由のひとつが自己資本比率を上げることなので、それが認められなくなったら期限前償還するということです。
税務事由と資本事由はともに外部要因であり、法律などが改正されない限り発生しません。
格付
格付投資情報センター(R&I)による「株式会社三菱UFJフィナンシャルグループ第26回無担保社債(実質破綻時免除特約および劣後特約付)(サステナビリティボンド)」と「株式会社三菱UFJフィナンシャルグループ第27回期限前償還条項付無担保社債(実質破綻時免除特約および劣後特約付)(サステナビリティボンド)」の格付は「A+」です。
R&Iの格付「A+」とは、「信用力は高く、部分的に優れた要素がある。」を意味しています。プラスの表示は、上位格(AA)に近いことを意味しています。
格付投資情報センターの格付事由は次のとおりです。
本債券の格付は格付方法「規制資本商品等と金融機関等の格付の考え方」に則り、ノッチングの起点をグループ全体の信用力とし、それをそのまま反映している三菱UFJ銀行の発行体格付の1ノッチ下のA+とする。
新型コロナウイルスの感染拡大が急速に広がり、世界的に経済活動が急激に落ち込んでいる。グループにとっても収益の低迷・不安定化や有価証券の評価損益の悪化、資産の質の劣化、リスク耐久力の低下などの形である程度の影響が見込まれるが、長期化しなければ十分に吸収可能だ。長期化すると資産の質やリスク耐久力への影響がより強く出てくるため、収束に向けた状況を注視していく。
株式会社日本格付研究所(JCR)による「株式会社三菱UFJフィナンシャルグループ第26回無担保社債(実質破綻時免除特約および劣後特約付)」と「株式会社三菱UFJフィナンシャルグループ第27回期限前償還条項付無担保社債(実質破綻時免除特約および劣後特約付)」の格付は「A+」を取得予定です。
JCRの格付「A+」とは、「債務履行の確実性は高い」を意味しています。プラスの表示は、上位格(AA)に近いことを意味しています。
日本格付研究所の格付事由は次のとおりです。
発行体は、傘下に三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、三菱UFJニコス(ニコス)、アコム、三菱UFJリースなどを擁する金融持株会社。当社の発行体格付は、ダブルレバレッジ比率がやや高いことなどを踏まえて、グループ信用力を反映した中核子銀行の発行体格付(三菱UFJ銀行および三菱UFJ信託銀行:AA/安定的)から1ノッチ下としている。
本社債は、劣後特約のほかに実質破綻時免除特約が付されているバーゼルⅢ適格 Tier2 商品である。実質破綻時免除特約により、当社は、内閣総理大臣が預金保険法の特定第二号措置を講ずる必要があると認定した場合、本社債につき元利金の支払義務を免除される。本件の債券格付は、劣後性を考慮し長期発行体格付から 1 ノッチ下とした。
出典:【三菱UFJフィナンシャル・グループ】債券新規(損失吸収条項付Tier2):A+
格付について詳しく知りたい方は、次の記事もご覧ください。
関連記事 格付とは? 格付会社の信用格付で社債が投資適格かどうかが分かる!
販売会社
三菱UFJフィナンシャル・グループの個人向け社債は、次の証券会社で販売しています。
販売会社 | 第26回 | 第27回 |
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三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 440億円 | 710億円 |
野村證券 | 60億円 | 40億円 |
岡三証券 | 10億円 | 60億円 |
東海東京証券 | 20億円 | 40億円 |
丸三証券 | 10億円 | 10億円 |
大和証券 | × | 100億円 |
証券会社によっては、「株式会社三菱UFJフィナンシャルグループ第27回期限前償還条項付無担保社債(実質破綻時免除特約および劣後特約付)(サステナビリティボンド)」のみを取扱っていることがあります。
個人向け社債の購入方法について、詳しくは次の記事をご覧ください。
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