独立行政法人国際協力機構が個人向けJICA債「独立行政法人国際協力機構第65回国際協力機構債券(ソーシャルボンド)」を2022年2月7日に発行します。このブログでは、本債券の概要や買い方をご紹介します。
概要
独立行政法人国際協力機構(JICA)が発行する個人向けJICA債の概要は次のとおりです。
名称 | 独立行政法人国際協力機構 第65回国際協力機構債券(ソーシャルボンド) |
愛称 | JICA SDGs債 |
発行体 | 独立行政法人国際協力機構(JICA) |
期間 | 約10年 |
利率 | 年0.194%(税引前) |
発行日 | 2022年2月7日 |
利払日 | 毎年2月20日と8月20日(年2回) |
償還日 | 2032年2月7日 |
発行価格 | 額面100円につき100円 |
申込単位 | 1万円単位 |
格付 | AA+(R&I) |
発行額 | 30億円 |
募集期間 | 2022年1月24日~2022年2月4日 |
JICA債の発行は、日本政府の定める持続可能な開発目標(SDGs)実施指針改定版でSDGs達成に必要な資金を確保するためのファイナンスとして位置付けられています。個人でも債券投資を通じてSDGs達成へ貢献することができます。
利回り
独立行政法人国際協力機構第65回国際協力機構債券(ソーシャルボンド)の利回りは、年0.194%です。
一般担保付
発行体が倒産したとき、社債の種類によって返済順位が異なります。社債の種類による弁済順位は次のとおりです。
- 担保付社債
- 優先債
- 劣後債
一般担保付社債とは担保付社債の一種で、発行体の全財産によって他の債権者よりも優先して弁済が受けられる権利がついた社債のことです。
どんな発行体でも一般担保付社債を発行できるわけではなく、根拠となる法律が必要になります。
一般担保付債券 | 根拠法 |
---|---|
JICA債 | 独立行政法人国際協力機構法 |
電力債 | 電気事業法 |
放送債券 | 放送法 |
東京交通債券 | 東京地下鉄株式会社法 |
NTT債 | 日本電信電話株式会社法 |
JT債 | 日本たばこ産業株式会社法 |
第57回国際協力機構債券(一般担保付)は、独立行政法人国際協力機構法第32条6項に基づく一般担保付債券です。
第一項又は前項の規定により発行する機構債券の債権者は、機構の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
出典:独立行政法人国際協力機構法第32条6項
買い方
独立行政法人国際協力機構第65回国際協力機構債券(ソーシャルボンド)は次の証券会社で販売します。
証券会社 | 引受金額 |
---|---|
みずほ証券 | 12億円 |
SBI証券 | 10億円 |
大和証券 | 8億円 |
楽天証券 | – |
※楽天証券は、みずほ証券の委託販売会社です。
独立行政法人国際協力機構第65回国際協力機構債券(ソーシャルボンド)を買うには、購入対価のみを支払います。購入手数料はありません。
独立行政法人国際協力機構(JICA)
国際協力機構(JICA)とは、国の全額出資による独立行政法人です。民間代替不可能な政府開発援助(ODA)を一元的に実施しています。
JICA債の調達資金の資金使途は、有償資金協力業務(円借款と海外投融資)の出融資に充当されることがJICA法第32条に明示されており、それ以外の業務に使われることはありません。
発行実績
独立行政法人国際協力機構は、過去に次の個人向けJICA債を発行した実績があります。
銘柄 | 発行日 | 期間 | 利率 |
---|---|---|---|
第57回 | 2020年12月25日 | 10年 | 0.13% |
第55回 | 2020年9月28日 | 10年 | 0.15% |
第28回 | 2014年12月22日 | 5年 | 0.15% |
第22回 | 2013年12月24日 | 5年 | 0.26% |
第17回 | 2012年12月26日 | 10年 | 0.72% |
第16回 | 2012年12月26日 | 6年 | 0.30% |
第10回 | 2011年12月20日 | 10年 | 0.38% |
格付
独立行政法人国際協力機構第65回国際協力機構債券(ソーシャルボンド)の発行体である独立行政法人国際協力機構(JICA)は、日本政府と同じ格付を付されています。独立行政法人国際協力機構第65回国際協力機構債券(ソーシャルボンド)自体も、発行体と同じ格付です。
格付機関 | 格付 |
---|---|
格付投資情報センター(R&I) | AA+ |
格付投資情報センター(R&I)の格付事由は次のとおりです。
国際協力機構(JICA)は政府開発援助(ODA)の実施機関で、経済、外交政策上の重要性は極めて高い。格付は日本ソブリンと同格としている。
政府は国際貢献と国益の両立の観点から、ODAを積極的に活用している。JICAの有償資金協力の事業規模は近年おおむね拡大傾向にある。政府が6月に発表した、経済財政運営と改革の基本方針2021には、感染症の世界的な感染状況を踏まえ、ODAによる開発協力の効率的な拡充に取り組むことが盛り込まれた。未曽有の健康危機・経済危機に対し、JICAは新型コロナウイルス感染症危機対応緊急支援借款などを使って機動的に対応している。すでにモンゴル、フィリピン、インドネシア、カンボジアなど多くの国への財政支援を手掛けた。JICAの果たす役割は大きくなっている。
技術協力と無償資金協力を実施する一般勘定、円借款などを行う有償資金協力勘定(有償勘定)の2つの勘定を持つ。円借款は開発途上国向けで信用リスクが大きいうえ超長期の資金を供給しており、金利リスクも抱えるが、リスクが顕在化して損失を被っても政府が支援する可能性が高い。自己資本は厚く、財務基盤が崩れる懸念は小さい。有償勘定で手掛けている海外投融資はソブリン向け与信と異なり、公的債権として扱われない。投融資の規模はまだ小さいものの慎重なリスク管理が求められる。
信用格付について詳しくは次の記事をご覧ください。

参考文献
独立行政法人国際協力機構 (2022) 国際協力機構債券(JICA債)の特性
独立行政法人国際協力機構 (2022) 発行実績
株式会社格付投資情報センター (2022) NEWS RELEASE
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