三菱UFJフィナンシャル・グループが個人向け社債「株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ第1回期限前償還条項付無担保セキュリティトークン社債(実質破綻時免除特約および劣後特約ならびに譲渡制限付)」を2025年11月11日に発行します。
銘柄
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ第1回期限前償還条項付無担保セキュリティトークン社債(実質破綻時免除特約および劣後特約ならびに譲渡制限付)
発行体
「株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ第1回期限前償還条項付無担保セキュリティトークン社債(実質破綻時免除特約および劣後特約ならびに譲渡制限付)」の発行体(債券の発行元)は、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループです。株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループは、三菱UFJフィナンシャル・グループの金融持株会社です。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の傘下には、次のような企業があります。
- 三菱UFJ銀行
- 三菱UFJ信託銀行
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 三菱UFJニコス
- アコム
- 三菱UFJリース
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの長期発行体格付は、他の金融グループ会社と同程度になります。
| 格付 | R&I | JCR |
|---|---|---|
| 三菱UFJフィナンシャル・グループ | AA- | AA |
| 三井住友フィナンシャルグループ | AA- | AA |
| 三井住友トラストグループ | AA- | AA |
| みずほフィナンシャルグループ | AA- | AA |
| りそなホールディングス | AA- | AA |
| ひろぎんホールディングス | A+ | AA- |
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの連結経営成績は以下のとおりです。
| 2024年3月期 | 2025年3月期 | |
|---|---|---|
| 経常収益 | 11,890,350 | 13,629,997 |
| 経常利益 | 2,127,958 | 2,669,483 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,490,781 | 1,862,946 |
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの連結貸借対照表は以下のとおりです。
| 資産 | 負債・純資産 | ||
|---|---|---|---|
| 負債 | 391,385,368 | ||
| 純資産 | 21,728,132 | ||
| 資産合計 | 413,113,501 | 負債純資産合計 | 413,113,501 |
発行条件
「株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ第1回期限前償還条項付無担保セキュリティトークン社債(実質破綻時免除特約および劣後特約ならびに譲渡制限付)」の発行条件は以下のとおりです。
期間
10年2ヶ月
利率
「株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ第1回期限前償還条項付無担保セキュリティトークン社債(実質破綻時免除特約および劣後特約ならびに譲渡制限付)」の利率は以下のとおりです。
| 時期 | 利率(年率・税引前) |
|---|---|
| 当初5年2ヶ月 | 1.858% |
| 以降5年 | 基準金利 + 0.650% |
基準金利とは、2031年1月11日の2銀行営業日前(利率決定日)の午前10時に、財務省ウェブサイト内「国債金利情報」ページに表示される5年国債金利のことです。
発行価格
額面100円につき100円
申込単位
100万円単位
発行額
100億円
実質破綻時免除特約
「株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ第1回期限前償還条項付無担保セキュリティトークン社債(実質破綻時免除特約および劣後特約ならびに譲渡制限付)」には実質破綻時免除特約が付いています。
実質破綻時免除特約とは、発行体が実質的に破綻した状態になったときに、発行体はその元利金や利息の支払い義務をすべて免除されるという特約のことをいいます。
劣後特約
「株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ第1回期限前償還条項付無担保セキュリティトークン社債(実質破綻時免除特約および劣後特約ならびに譲渡制限付)」には劣後特約が付いています。
「劣後特約」とは、元本と利息の支払いの優先順位が普通社債より低い債券に付けられる特約のことです。この特約が付いた債券を「劣後債」と言います。劣後債は発行体が破綻した場合の弁済順位が普通社債に比べ劣りますが、一般的に普通社債より利回りが高くなります。発行体が破綻した場合、普通社債でも投資したお金が返ってくる保障はありませんが、劣後債は普通社債よりお金が返ってくる可能性がさらに低くなります。
譲渡制限付
「株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ第1回期限前償還条項付無担保セキュリティトークン社債(実質破綻時免除特約および劣後特約ならびに譲渡制限付)」は三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社および三菱UFJモルガン・スタンレー証券に口座を開設している者以外への譲渡はできません。また、利息支払日または償還日の6銀行営業日前の日から利息支払日または償還日までの期間等、希望の時期に譲渡できない場合があります。
期限前償還条項
「株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ第1回期限前償還条項付無担保セキュリティトークン社債(実質破綻時免除特約および劣後特約ならびに譲渡制限付)」には、期限前償還条項が付いています。
あらかじめ金融庁長官の確認を受けたうえで、元本に経過利息を付けて2031年1月11日に期限前償還される場合があります。期限前に償還される場合は、1~2か月前に社債権者に通知されます。期限前償還条項は株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの判断で実行できるので、実際に起こる可能性は高いです。
期限前償還条項とは別に、税務事由または資本事由が発生・継続している場合に期限前償還される場合があります。
税務事由とは、税制またはその解釈の変更などにより債権利息の損金算入が認められなくなり、合理的な措置を講じてもそれを回避できないと法律または税務の専門家より意見書として発行者が受領した場合です。社債の利金が企業の経費と認められなくなった場合ですので、実際に税務事由が起こることは考えにくいです。
資本事由とは、債券の全部または一部が自己資本比率規制上、発行者のTier2資本として扱われない内容の法令などが公布・公表した場合、または金融庁その他監督当局と協議の結果、Tier2資本として扱われないこととなると発行者が判断した場合です。銀行には自己資本比率規制があり、一定の条件のもとで社債で調達した資金も資本と認められています。銀行が劣後債を発行する理由のひとつが自己資本比率を上げることなので、それが認められなくなったら期限前償還するということです。
税務事由と資本事由はともに外部要因であり、法律などが改正されない限り発生しません。
発行体が社債を期限前に償還すると、投資家は本来受け取るはずだった利息を受け取れずに、早めに資金を返されてしまいます。その時点で金利が低下していると、同じ利回りで再投資できないリスクがあります。
スケジュール

「株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ第1回期限前償還条項付無担保セキュリティトークン社債(実質破綻時免除特約および劣後特約ならびに譲渡制限付)」の条件決定から償還までのスケジュールは以下のとおりです。
- 2025.10.20募集開始
- 2025.11.7募集終了
- 2025.11.11発行
- 2026.1.11利払い
- 2026.7.11利払い
- 2027.1.11利払い
- 2027.7.11利払い
- 2028.1.11利払い
- 2028.7.11利払い
- 2029.1.11利払い
- 2029.7.11利払い
- 2030.1.11利払い
- 2030.7.11利払い
- 2031.1.11利払い・早期償還
- 2031.7.11利払い
- 2032.1.11利払い
- 2032.7.11利払い
- 2033.1.11利払い
- 2033.7.11利払い
- 2034.1.11利払い
- 2034.7.11利払い
- 2035.1.11利払い
- 2035.7.11利払い
- 2036.1.11利払い・償還
募集期間
2025年10月20日~2025年11月7日
発行日
2025年11月11日
利払日
毎年1月11日及び7月11日(年2回)
期限前償還
2031年1月11日
償還日
2036年1月11日
格付
「株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ第1回期限前償還条項付無担保セキュリティトークン社債(実質破綻時免除特約および劣後特約ならびに譲渡制限付)」は、格付投資情報センター(R&I)及び株式会社日本格付研究所(JCR)から長期個別債務格付を取得しています。
| 格付会社 | 格付 |
|---|---|
| R&I | AA- |
| JCR | AA- |
格付投資情報センター
格付投資情報センター(R&I)による格付事由は次のとおりです。
MUFGは商業銀行業務を中心に世界最大級の規模があり、日本の3大金融グループの中でトップ。R&Iは今回の見直しでグループ全体の信用力をAA相当に据え置き、持株会社である三菱UFJフィナンシャル・グループの発行体格付はグループ信用力から1ノッチ下のAA-、傘下の事業子会社の発行体格付はグループ信用力と同等のAAを維持した。
銀行事業の営業基盤は極めて強い。信託や証券、アセットマネジメント、カード、消費者金融、リース(持分法適用関連会社)などでも市場地位が高く、事業の多様化が進展している。海外ではアジアに商業銀行プラットフォームを備え、デジタル金融プレーヤーに出資して経済圏の構築を模索する。米Morgan Stanleyとの戦略的提携は事業・収益面で差別化要因となっており、協業領域を拡大していく。
事業ポートフォリオは商業銀行業務主体で安定している。リスク耐久力はAAゾーンに見合う。AT1債(その他Tier1に該当する劣後債)の発行でリスクバッファーが増したほか、株式リスク・金利リスクの圧縮が寄与している。ストレス下でも業務運営に支障が生じない資本水準と対応力を備える。資産の質は健全だが、CIB(コーポレート&インベストメントバンキング)やアジアのノンバンクビジネスの拡大に伴い信用コストが増加している。事業戦略に見合ったリスク管理態勢の強化が重要だ。
強固な営業基盤を反映し、収益規模は3大金融グループでトップ。顧客部門を中心に利益は増加している。資本効率を意識した業務運営が収益向上に結び付いている。もっとも格付対比でみると収益性や経費効率には課題がある。コスト規律の強化やデジタル活用によって収益力が向上するか見守る。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券、モルガン・スタンレーMUFG証券、三菱UFJ銀行は銀証間における不適切な顧客情報の共有や金融商品販売契約の締結による法令違反のため行政処分を受けた。改善対応策を提出、再発防止策や企業風土改革を進めている。信用力への影響は小さいとみているが、銀証連携ビジネスの進展の足かせにならないか確認していく。
〇三菱UFJフィナンシャル・グループ
グループの持株会社。G-SIBsに指定されており、持株会社の債権者は子会社の債権者に対して劣後するとR&Iはみている。格付には持株会社固有の構造的劣後性などを反映ししている。
日本格付研究所
日本格付研究所(JCR)による格付事由は次のとおりです。
三菱 UFJ フィナンシャル・グループ(MUFG)は、持株会社(当社)の傘下に三菱 UFJ 銀行、三菱 UFJ 信託銀行、三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券などを擁する国内最大の総合金融グループ。当社の発行体格付は、グループ信用力と同等としている。ダブルレバレッジ比率が一定水準を下回って推移していることや、今後も大きく上昇する可能性が低いと JCR ではみていることから、持株会社が有する構造劣後性を反映していない。
本社債は、劣後特約のほかに実質破綻時免除特約が付されているバーゼルⅢ適格 Tier2 商品である。実質破綻時免除特約により、当社は、内閣総理大臣が預金保険法の特定第二号措置を講ずる必要があると認定した場合、本社債につき元利金の支払義務を免除される。本件の債券格付は、劣後性を考慮し長期発行体格付から 1 ノッチ下とした。なお、格付対象に付与されていた予備格付は本格付への移行に伴い消滅した。
販売会社
三菱UFJフィナンシャル・グループの個人向け社債は、次の証券会社で販売しています。
| 販売会社 | 引受額 |
|---|---|
| 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 100億円 |
| 計 | 100億円 |
証券会社によって引受金額が異なります。引受金額が大きいほどたくさん販売されるため、購入しやすくなります。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は「株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ第1回期限前償還条項付無担保セキュリティトークン社債(実質破綻時免除特約および劣後特約ならびに譲渡制限付)」の買付注文はネットでは取り扱っていません。
既発債
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループは、過去に次の個人向け社債を発行した実績があります。
| 銘柄 | 期間 | 利率 |
|---|---|---|
| 第41回 | 10年 | 当初5年 1.796% 以降5年 基準金利 + 0.720% |
| 第40回 | 10年 | 2.389% |
| 第39回 | 10年4か月 | 当初5年6か月 1.565% 以降5年 基準金利 + 0.730% |
| 第38回 | 10年4か月 | 2.051% |
| 第37回 | 10年4か月 | 当初5年6か月:1.303% 以降5年:基準金利 + 0.790% |
| 第36回 | 10年4か月 | 1.838% |
| 第35回 | 10年4か月 | 当初5年:1.204% 以降5年:基準金利 + 0.950% |
| 第34回 | 10年4か月 | 1.672% |
| 第33回 | 10年6か月 | 当初5年:1.209% 以降5年:基準金利 + 0.950% |
| 第32回 | 10年6か月 | 1.564% |
| 第31回 | 10年 | 当初5年:0.718% 以降5年:基準金利 + 0.680% |
| 第30回 | 10年 | 0.904% |
| 第29回 | 約10年 | 当初5年4か月:0.345% 以降5年:基準金利 + 0.470% |
| 第27回 | 約10年4か月 | 当初5年4か月:0.58% 以降5年:基準金利 + 0.67% |
| 第26回 | 約10年4か月 | 0.894% |
| 第21回 | 約10年4か月 | 当初5年4か月:0.29% 以降5年:基準金利 + 0.43% |
| 第20回 | 約10年4か月 | 0.452% |
関連記事


参考文献
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ (2025) セキュリティトークン(ST)社債形式での国内公募無担保劣後社債の発行について
株式会社格付投資情報センター (2025) NEWS RELEASE
株式会社日本格付研究所 (2025) News Release
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