譲渡所得とは、土地建物や株式等の資産を譲渡して得た所得のことです。譲渡所得の計算や控除、確定申告についてご紹介します。
譲渡所得とは
土地や建物、株式等の資産を売却して収入を得たときは、譲渡所得として所得税、復興特別所得税および住民税がかかります。
譲渡した資産の種類によって、譲渡所得は次に示す3種類に分類されます。
- 土地建物等
- 株式等
- 一般の資産
課税主体 | 税 | 所得区分 |
---|---|---|
国税 | 所得税 | 事業所得 |
不動産所得 | ||
利子所得 | ||
配当所得 | ||
給与所得 | ||
雑所得 | ||
譲渡所得 | ||
一時所得 | ||
退職所得 | ||
山林所得 | ||
贈与税 | – | |
相続税 | – | |
地方税 | 住民税 | – |
固定資産税 | – |
土地建物
土地や建物を売却して得た収入は譲渡所得となり、所得税、復興特別所得税および住民税がかかります。
申告分離課税
個人が土地や建物等の売却により得た譲渡所得は、他の所得と分離して所得税、復興特別所得税および住民税が課税されます。
譲渡所得は次の計算式で求めます。
個人が土地・建物を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算において、譲渡した土地・建物の取得費が不明である場合は、譲渡収入金額の5%相当額を取得費とすることができます。
税率
譲渡所得の税率は、不動産を譲渡した年の1月1日時点での所有期間によって異なります。
所有期間 | 税率 | |
---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315% |
※2037年まで特別復興所得税が上乗せされています。
相続(限定承認に係るものを除く)により取得した土地を譲渡した場合、その土地の所有期間を判定する際の取得の日については、被相続人の取得時期がそのまま相続人に引き継がれます。
自宅やその土地などの居住用財産を譲渡した場合、一定の要件を満たせば次の特例を受けることができます。
譲渡損益 | 居住用財産の譲渡の特例 |
---|---|
譲渡益が生じた場合 | ・居住用財産の3,000万円の特別控除 ・被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例 ・居住用財産の軽減税率の特例 ・特定居住用財産の買換えの特例 |
譲渡損が生じた場合 | ・居住用財産を買い換えた場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例 ・特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例 |
所得控除
土地建物の譲渡所得には、次に示す特別控除があります。
- 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
- 特別控除
- 居住用財産の長期譲渡所得の特例
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
自宅を売ったときは、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。自宅であれば所有期間の長短に関わらず、この特例を適用できます。
譲渡所得がゼロまたはマイナスであれば課税されません。ただし、その場合であっても確定申告は必要です。
以前に住んでいた家屋や敷地を売った場合、住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売れば、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例を適用できます。
自宅を取り壊した場合、家屋を取り壊した日から1年以内に敷地の譲渡契約を締結し、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例を適用できます。
次のような場合は、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例を適用できません。
- 配偶者や父母、子などへの譲渡
- 前年または前々年にこの特例を受けている
- 別荘など娯楽や保養のために所有する家屋の譲渡
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例は「居住用財産の長期譲渡所得の特例」と併用して適用できますが、「特定居住用財産の買換えの特例」とは併用できません。
居住用財産の長期譲渡所得の特例
事故の居住用財産を譲渡した年の1月1日における所有期間が10年超の場合、長期譲渡所得の税率を通常の場合よりも低い税率で計算することができます。
「居住用財産の3,000万円特別控除」と併用することができ、3,000万円特別控除後の所得金額が6,000万円以下の部分について税率が軽減されます。
税区分 | 課税長期譲渡所得金額のうち | |
---|---|---|
6,000万円以下の部分 | 6,000万円超の部分 | |
所得税 | 10% | 15% |
復興特別所得税 | 0.21% | 0.315% |
住民税 | 4% | 5% |
合計 | 14.21% | 20.315% |
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例
相続の開始の直前において、被相続人の居住用であった家屋で、その後空き家になっていた家屋を一定期間内に譲渡した場合、その譲渡所得の金額から3,000万円を控除できます。
「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」を受けるための適用要件は次のとおりです。
- マンションなど区分所有建物でないこと
- 相続開始日から3年を経過する年の12月31日までに譲渡したこと
- 譲渡対価が1億円以下であること
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
居住用財産を買い替えたときに譲渡損失が生じた場合、一定の要件を満たせば譲渡損失とその年のほかの所得とを損益通算することができます。
- 譲渡した年の1月1日時点で所有期間から5年超の居住用財産を譲渡
- 10年超の住宅ローンを利用して床面積50㎡以上の居住用財産を購入
また、翌年以降3年間にわたって、その譲渡損失をほかの所得から控除することができます。
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