楽天グループ株式会社が個人向け社債「楽天グループ株式会社第22回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」(愛称:楽天モバイル債)を2023年2月10日に発行します。本債券の内容と買い方をご紹介します。
概要
楽天グループ株式会社が発行する個人向け社債の概要は次のとおりです。
名称 | 楽天グループ株式会社第22回無担保社債 (社債間限定同順位特約付) |
愛称 | 楽天モバイル債 |
期間 | 2年 |
利率 | 年3.30%(税引前) |
発行日 | 2023年2月10日 |
利払日 | 毎年2月10日及び8月10日(年2回) |
償還日 | 2025年2月10日 |
発行価格 | 額面100円につき100円 |
申込単位 | 50万円単位 |
格付 | A (JCR) |
発行額 | 2,500億円 |
募集期間 | 2023年1月30日~2023年2月9日 |
発行体
「楽天グループ株式会社第22回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」には「楽天モバイル債」という愛称が付けられていますが、発行体(債券を発行する会社)は楽天モバイル株式会社ではなく、親会社の楽天グループ株式会社です。
楽天グループ株式会社は楽天グループの中核会社で、東京証券取引所プライム市場に上場しています。
会社名 | 楽天グループ株式会社 |
住所 | 東京都世田谷区玉川1-14-1 楽天クリムゾンハウス |
代表者 | 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史 |
設立 | 1997年2月7日 |
資本金 | 289,674百万円(2021年12月31日現在) |
従業員数 | 単体:7,744名 連結:28,261名 (2021年12月31日現在) |
上場市場 | 東京証券取引所プライム市場 |
銘柄コード | 4755 |
楽天グループ株式会社は、以下に示す格付会社から発行体格付を取得しています。
格付会社 | 長期格付 |
---|---|
格付投資情報センター (R&I) | A- |
日本格付研究所 (JCR) | A |
S&Pグローバルレーティング | BB+ |
楽天グループ株式会社の2022年度第3四半期決算の内容は次のとおりです。
2022年度第3四半期 | 前年同四半期 | |
---|---|---|
売上収益 | 1,364,708 | 1,200,574 |
営業利益 | △287,093 | △108,362 |
税引前利益 | △312,058 | △119,316 |
四半期利益 | △260,532 | △105,165 |
親会社の所有者に帰属する四半期利益 | △258,090 | △103,905 |
2022年度第3四半期決算の利益は赤字で、前年同四半期よりも赤字幅が拡大しています。
楽天グループは社内カンパニー制度を導入していて、インターネットセグメント、モバイルセグメント及びフィンテックセグメントに分かれています。
インターネットセグメント
モバイルセグメント
- 楽天モバイル
- 楽天コミュニケーションズ
- 楽天エナジー
- Rakuten TV
- 楽天チケット
- Viber
フィンテックセグメント
利率
「楽天グループ株式会社第22回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」(楽天モバイル債)の利率は、年3.30%(税引前)です。所得税、復興特別所得税及び住民税を控除した税引後の利率は年2.629%です。
税引前利率 | 3.30% |
所得税 | 利金の15.0% |
復興特別所得税 | 所得税の0.315% |
住民税 | 利金の5.0% |
税引後利率 | 2.629% |
利払いは毎年2月10日及び8月10日の年2回、半年分が支払われます。
格付
「楽天グループ株式会社第22回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」(楽天モバイル債)は、格付会社である日本格付研究所(JCR)から「A」の長期個別債務格付を取得しています。
日本格付研究所による格付事由は次のとおりです。
JCRでは22年10月4日に当社の長期発行体格付を「A」、見通しをネガティブと公表している。その後、当社の信用力に影響を与える事象は生じていない。
22/12期第3四半期累計の売上収益は1兆3,647億円(前年同期比 13.7%増)、営業利益は△2,870億円(前年同期△1,083億円)であった。インターネットセグメントやフィンテックセグメントは堅調であったものの、モバイルセグメントでの赤字が負担になった。モバイルセグメントの赤字は、22/12期第1四半期(△1,350億円)をピークに、第2四半期は△1,242 億円、第3四半期は△1,208 億円と減少傾向で推移しているものの、そのペースは緩やかである。JCRでは、モバイルセグメントでの契約数、ユーザーのデータ使用量、通信品質、収支などの状況とともに事業・資産を活用した資金調達の進捗を注視していく。
社債間限定同順位特約
「楽天グループ株式会社第22回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」(楽天モバイル債)は担保がない無担保社債です。担保はありませんが、社債間限定同順位特約がついています。
社債間限定同順位特約とは、楽天グループ株式会社が今後担保付きの社債を発行する場合は、「楽天グループ株式会社第22回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」(楽天モバイル債)にも同様に担保をつけるという特約です。担保無しの債券より担保付きの債券の方が債権の回収優先順位が高いため、あとから発行された社債によって不利な扱いがされないという保証になります。
一般企業が担保付きの社債を発行するのはハードルが高く、電力会社等を除けば、担保付きの社債を発行することは滅多にありません。そのため、社債の殆どは無担保社債です。社債間限定同順位特約付とは、楽天グループ株式会社が担保付きの社債を発行する意思がないという表明です。
購入方法
以下に示す証券会社で「楽天グループ株式会社第22回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」(楽天モバイル債)を購入できます。
証券会社 | 引受額 |
---|---|
大和証券 | 1,000億円 |
SMBC日興証券 | 600億円 |
楽天証券 | 400億円 |
野村證券 | 400億円 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 100億円 |
計 | 2,500億円 |
楽天グループ株式会社第22回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」(楽天モバイル債)の売れ行き状況によっては、完売することがあります。販売する証券会社によって引受額(販売総額)が異なり、引受額が小さい証券会社ほど完売になりやすくなります。支店によっても在庫が異なります。オンライントレードで取り扱っている場合は、支店とは別に在庫があります。
社債の購入に手数料はかかりません。
大和証券
大和証券はインターネット(オンライントレード)で「楽天グループ株式会社第22回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」(楽天モバイル債)の注文を取り扱っていません。「ダイワ・コンサルティング」コースの場合は本・支店・営業所、「ダイワ・ダイレクト」コースの場合はコンタクトセンターで注文できます。各支店およびダイワ・ダイレクトで、それぞれ在庫が異なります。ある支店では売り切れでも、他の支店やダイワ・ダイレクトでは在庫が残っていることがあります。
SMBC日興証券
SMBC日興証券は「楽天グループ株式会社第22回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」(楽天モバイル債)の買付注文をオンライントレードでも取り扱っています。
楽天証券
楽天証券は「楽天グループ株式会社第22回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」(楽天モバイル債)の買付注文をオンライントレードで取り扱っています。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は「楽天グループ株式会社第22回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」(楽天モバイル債)をネットでも取り扱っています。
メリット
「楽天グループ株式会社第22回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」(楽天モバイル債)には以下に示すメリットがあります。
- 利率が高い
利率が高い
「楽天グループ株式会社第22回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」(楽天モバイル債)の利率は、直近に発行された中期の個人向け社債と比べて利率が高くなっています。
発行日 | 発行体 | 利率 | 期間 |
---|---|---|---|
2023年2月10日 | 楽天グループ | 3.300% | 2年 |
2023年2月6日 | 日産自動車 | 1.015% | 3年 |
2023年2月3日 | 独立行政法人国際協力機構 | 0.517% | 5年 |
2023年1月31日 | クレディセゾン | 0.720% | 5年 |
2023年1月30日 | 東海東京フィナンシャル・ホールディングス | 0.270% | 1年 |
2022年12月23日 | 北海道電力 | 0.360% | 3年 |
2022年12月23日 | 名古屋鉄道 | 0.310% | 3年 |
2022年12月23日 | 四国電力 | 0.350% | 3年 |
2022年12月22日 | ルノー | 2.800% | 4年 |
2022年12月21日 | 東海東京フィナンシャル・ホールディングス | 0.270% | 1年 |
2022年12月20日 | 北陸電力 | 0.470% | 4年 |
2022年12月16日 | 楽天カード | 1.650% | 5年 |
2022年12月16日 | ソフトバンクグループ | 2.840% | 7年 |
2022年12月15日 | 東急 | 0.490% | 5年 |
2022年12月13日 | 東北電力 | 0.864% | 6年 |
デメリット
「楽天グループ株式会社第22回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」(楽天モバイル債)には以下に示すデメリットがあります。
- 元本保証されていない
- 元本割れするリスク(危険)がある
元本保証されていない
「楽天グループ株式会社第22回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」(楽天モバイル債)は元本保証された金融商品ではありません。そもそも、「元本保証」を謳ってもよい金融商品は銀行等の預貯金だけです。銀行等の預貯金以外の金融商品で「元本保証」を謳うと違法になります。国債、地方債及び保険ですら「元本確保」型の金融商品であって、「元本保証」を謳っていません。
元本割れするリスク(危険)がある
「楽天グループ株式会社第22回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」(楽天モバイル債)を償還期限まで保有すれば、額面通りの金額で償還されます。ただし、途中で証券会社へ売却する場合は、元本割れするリスク(危険)があります。社債を償還前に証券会社へ途中売却する場合は、証券会社の言い値で売ることになります。
スケジュール
「楽天グループ株式会社第22回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」(愛称:楽天モバイル債)の条件決定から償還までのスケジュールは以下のとおりです。
- 2023.1.27条件決定
- 2023.1.30募集開始
- 2023.2.9募集終了
- 2023.2.10受渡し
- 2023.8.10利払い
- 2024.2.10利払い
- 2024.8.10利払い
- 2025.2.10利払い、償還
口コミ
楽天モバイル債3年物、利率0.72%に決定。
信用力と利率、期間からいうとまずまずか。少し買う予定。
米国債などのほうが有利なのはだが、今は為替リスクが高すぎる。— ÁZUL (@AZUL3285) May 27, 2022
楽天モバイル債・・・だけど、発行体は楽天モバイルじゃなくて、楽天グループ株式会社🧐
社債間限定同順位特約ってなに!?
債券って、わかりにくいし複雑なイメージです😰
定期預金とは全然違うね⏬ pic.twitter.com/BOCZkXw7Us— ぶたちゃん🐽脂肪よりもお金を貯めたい👛 (@butatyan2) May 22, 2022
そろそろ10年変動国債が定期預金の利息超えてくるな…
キャッシュで置いておくなら移してもいいかどうか。
楽天モバイル債が3年0.4%以上で発行されるらしいのでそちらもアリかもしれない— ゆめい (@yumeyo_izayo) May 21, 2022
過去に発行された楽天モバイル債
楽天グループ株式会社は過去に以下に示す個人向け社債を発行しています。
銘柄 | 発行日 | 期間 | 利率 |
---|---|---|---|
第21回無担保社債 | 2022年6月13日 | 3年 | 年0.72% |
「楽天グループ株式会社第21回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」は、楽天グループ株式会社が初めて発行する個人向け社債となります。第21回以前に発行された社債は機関投資家向けです。機関投資家向けの社債は、個人向けの社債とは諸々の条件が異なるので、比較対象にできません。
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参考文献
楽天グループ株式会社 (2023) 格付・社債情報
楽天グループ株式会社 (2022) 2022年度決算短信・説明会資料
株式会社日本格付研究所 (2023) New Release
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